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「ネット投票の事例を積み上げ課題をクリアしていく」大村秀章 愛知県知事 (2017/7/4 政治山)

 日本の公職選挙におけるインターネット投票(以下、ネット投票)の導入については、内閣府の「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ」に「2020年在外邦人が国政選挙にネットで投票可能に!」と記載されており、国外に住む有権者の投票から実施することが検討されています。

 先月都内で行われた一般社団法人ユースデモクラシー推進機構(仁木崇嗣代表理事)主催の「デジタル憲法フォーラム」には石破茂 衆議院議員らが登壇、オブザーバーからの質問に大村秀章 愛知県知事と細野豪志 衆議院議員は揃ってネット投票に前向きな発言をしました。

「デジタル憲法フォーラム」に登壇した大村知事(写真撮影:藤井翔)

「デジタル憲法フォーラム」に登壇した大村知事(写真撮影:藤井翔)

 今回はネット投票と選挙情報のオープンデータ化について、大村知事にお話をうかがいましたが、大村知事は高齢者や足腰の不自由な方の投票率が季節や天候に左右されないように「ネット投票の研究を進めるべき」との考えを示しました。また、投票のなりすましや二重投票の防止などいくつか指摘されている課題を「住民投票等で事例を積み上げて1つ1つクリアしていく必要性がある」と述べました。

 選挙情報のオープンデータ化については、昨年12月の「官民データ活用推進基本法」成立を受けて、前進の兆しを見せています。愛知県では県議会議員選挙の選挙公報を2015年まで発行していませんでしたが、2019年に予定されている同選挙において選挙公報を発行することが決まっています。

 県内約300万世帯に選挙公報を配布する予算はおよそ2億円。配布には日数も掛かります。愛知県はすでに、国政選挙や知事選挙の選挙公報を、県ホームページにPDFファイルの形式で掲載していますが、2019年に執行される県議会議員選挙の選挙公報についても県ホームページへ掲載する予定です。大村知事は、「字の読めない方にも音声読み上げなどで対応できるように、オープンデータ化するためにはテキストデータ化した上での公開が必要では」との我々の指摘にも、前向きな姿勢を示しました。

大村秀章 愛知県知事

 現在は、「選挙公報の選挙管理委員会ホームページへの掲載に関する質疑応答集について」(平成24年3月29日付総務省通知)によると「選挙公報の掲載順序に従って、そのままホームページに掲載することを基本とする」(下線部編集部注)とされており、文書改ざんの懸念などから、選挙公報を画像データではなくテキストデータで公開することに慎重な意見も見受けられます。しかし、大村知事は、「様々な課題はあるが、慣例にとらわれず、時代に合わせて閲覧されやすい方法に変えていくことも考えるべき」と発言し、改革に向けて検討していくことの重要性を強調しました。

大村秀明 愛知県知事

 2015年の統一地方選挙の際には8つの県が選挙公報を発行しませんでしたが、その8県の大半は2019年の発行に向けて動いています。有権者が候補者や政策に対する理解を深めるために、適切な情報提供が望まれます。

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