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デジタルネイティブが描く憲法と地域の未来―デジタル憲法フォーラム開催 (2017/5/3 政治山 市ノ澤充)

 4月29日、デジタルハリウッド大学大学院(東京都千代田区)において、「デジタル憲法フォーラム」(デジ憲)が開催されました。主催したのは、一般社団法人ユースデモクラシー推進機構(仁木崇嗣代表理事)で、「デジタルネイティブと考えるデジタル時代の憲法と地域の未来」をテーマにゲストスピーカーによる講演とトークセッションが行われました。

石破茂 衆議院議員

石破茂 衆議院議員

 最初に登壇したのは、防衛大臣や農林水産大臣、地方創生担当大臣を歴任した石破茂 衆議院議員。石破議員は、主権者としての国民のあり方に疑問を呈した故田中美知太郎氏(哲学者)の言葉を紹介しつつ、有権者が主権者としての自覚を持っているか、お任せ民主主義になっていないかを省みる必要があるとしたうえで、「地方なくして東京なし」との持論を展開しました。

 続いて、民進党の代表代行を辞任し、憲法改正私案を公表したばかりの細野豪志 衆議院議員が登壇。施行から70年を迎える日本国憲法は時代に変化に対応すべきと述べ、野党から議論に耐える改正案を提出することに意義があると強調しました。また、緊急事態条項や教育の無償化の重要性のほか、地方自治については「何も書いていないのと同じ」と指摘、国の出先機関ではなく地方政府であることを明記し、地方の自立を促すべきと述べました。

細野豪志 衆議院議員

細野豪志 衆議院議員

 ゲストスピーカーとして最後に登壇したのは、国会議員から首長に転身した大村秀章 愛知県知事。細野議員の主張をさらに進め、憲法の理念を示す前文に地方自治、分権といった言葉を入れるべきと主張しました。そのうえで課税自主権を強化し、法律と同等の条例制定を可能とするよう改めるべきと述べました。

 主権者の自覚に触れた石破議員に対しては、選挙の際に有権者が主体的に判断するために必要な情報が提供されていると思うかとの質問があり、住民の判断に資する情報を提供すべきだし、住民の側からも要求すべきと答えました。

 また、公職選挙や住民投票にインターネット投票を導入すべきかとの問いには、細野議員は「ぜひやりましょう」と即答。若者の投票率向上や選挙事務の効率化が期待できるとして、「投票締め切り後直後に結果が分かれば、夜中まで当確を待たなくてよくなる」と会場の笑いを誘いました。

大村秀章 愛知県知事

大村秀章 愛知県知事

 ネット投票には大村知事も前向きな見解を示し、2000年の「神の国解散」後の総選挙で、自身の当確が300番目になったこと(339票差の接戦で疑問票が処理されるのを深夜まで待ったこと)を引き合いに、ネット投票になれば疑問票がなくなる利点にも触れました。

 後半のトークセッションには、シェアリングエコノミーやPPP(公民連携)、インターネット投票やブロックチェーンなどの新しい仕組みや技術の専門家に加え、お笑いを通じて若者の政治への関心を高めようと活動するたかまつなな氏が登壇。それぞれの分野から20年後の未来に向けた展望を語り、憲法のあり方とともに議論しました。

 第1回目のデジ憲を終えて、仁木崇嗣代表理事は以下のように述べました。

「実験的な取り組みでしたが、来場者は10代から70代まで幅広く、多世代がオンラインとオフラインを行き来しながら『未来』を考える機会になったと思います。明治初期の若者たちが未来を見据えて議論をし、私擬憲法として提起したように、私たちも『憲法』に向き合うためには、自分たちの手で『未来』を創っていくんだという意志を持たなければなりません。今回のイベントがそのきっかけになったとすれば主催者として本望です」

 次回は「デジ憲コンテスト」と称したデジタル時代における私擬憲法を募集するイベントを開催予定で、それまでに全国各地に賛同者をつくり、地域や世代を超えたムーブメントにしていきたいということです。

(写真撮影:藤井翔)

デジタル憲法フォーラム(デジ憲)

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