視察を通じて新たな視点を市政に―みさお知子 山県市議 (2016/11/16 山県市議会議員 操知子)
政務活動費にまつわる不正は後を絶ちませんが、そもそも政務活動費はすべての地方議員に支給されているわけではありません。活動費が支給されない議員は、どのような活動をしているのでしょうか。みさお知子 山県市議会議員にご寄稿いただきました。
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現在、岐阜県山県市では政務活動費がなく、行政視察・市町村議会議員特別セミナーを各1回と各所属委員会における所管事務調査、議会における研修等が数回あります。視察においては、実際にその街を訪れ、その街の在り方を知ることは、山県市の新たな視点を見出すことにも繋がります。また、セミナーにおいては、目に見えない小さなお声をお聴きする機会となります。そこで、先月に終えたばかりの行政視察をご紹介します。
子ども・子育て条例/子育て包括支援センター(香川県高松市)
フィンランドをモデルとした子育て支援施策の一つとして、「日本版ネウボラ」が全国の地方自治体で広がっております。日本版ネウボラは、妊娠期から子育て期における切れ目のない支援を目的としたもので、国においても子育て世代包括支援センターの設置を全市町村の努力義務とするとした改正児童福祉法が本年成立しました。
そこで、2013(平成25)年3月に子ども・子育て条例が施行され、本年8月には子育て世帯包括支援センターが設置された香川県高松市へ伺いました。高松市では妊娠届出の面接を保健師等の専門職が行うところから始まり、「その場所へ行けばこの人に聞けばいい」という市民からより近くの顔の見える環境づくりを行っております。
子育て世代包括支援センターは本年度までに251市区町村が整備され、国は2020年度までに全自治体の導入を目指しております。子育て支援に取り組む山県市では、今後いかに「やまがた版ネウボラ」を構築し、妊産婦の孤立感と負担感を解消し、社会全体での子育て環境づくりを行うかが課題です。
今治タオルプロジェクト(愛媛県今治市)
平野部から多島美を誇る青い海原まで、変化に富んだ今治市は、四国の市町村で一番の工業都市であり、四国の製造品出荷額等の約12%を占めます。その今治市の製造品出荷額における繊維工業は約4.1%に過ぎません。しかし、今治市は山と海の間に位置する穏やかな気候風土が綿栽培に適していたこともあり、言わずと知れた日本一のタオル産地であり、「今治タオル」は世界に通用する「JAPANブランド」です。
そこで、視察の2カ所目は愛媛県今治市へ伺いました。今治タオルのブランディングのキーポイントは(1)厳格な品質基準をクリアした製品にのみブランドマークを付与(2)早い段階での成功事例の創出(3)強いリーダーシップを持つ牽引者の存在(4)国の「JAPANブランド」育成支援事業やメディアの有効活用(5)クリエイティブディレクターとの出会い(6)企業同士の有機的な連携、すなわち経営戦略や考えの違うライバル企業同士の危機感の共有です。
そして、行政は人材不足・人材育成の施策として四国タオル工業組合社内技能検定制度等の後方支援を組合に対して行っております。今後は継続的支援を行うとともに、多種多様な今治ブランドの推進・強化等を企画立案し、企業誘致や定住・交流人口の増加など将来のまちづくりにつながる施策を展開するための取り組みを強化し、全国へ魅力的な都市・今治を強くPRしていくとのことです。
現在の山県市は2015(平成27)年度決算において、財政力指数0.414、経常経費92.6%、実質収支は黒字であるものの実質単年度収支は赤字であり、もちろん地方交付税の交付団体です。山県市にとっての特産品や資源は何だろうか。全国へ、世界へ発信できるものは何だろうか。今後の社会全体を見据えた強みは何だろうか。「自然豊かな美しいまち、山県市」として、気候風土や特性を生かし、持続可能な産地づくりを行うことがまちづくり全体の課題です。
山県市議会の行政視察と市町村議会議員特別セミナー
本年度の市町村議会議員特別セミナーは以下の通りです。
(1)医療機関・住民とともに地域医療を支える取り組み
(2)地域まるごとケア
(3)介護予防の公的責任と自治体
(4)地域を健康にするまちづくり
昨年度の行政視察
(1)たたらの里山再生特区 小規模多機能自治組織(島根県雲南市)
(2)しまね森林発電 気質バイオマス発電所(島根県江津市)
また、昨年度の市町村議会議員特別セミナーはこちら。
(1)なぜ地域包括ケアシステムなのか
(2)三鷹市が進める協働による地域福祉とコミュニティ創生
(3)チャイルド・プア~子どもの貧困から見えてきたこと~
(4)知的障害者に導かれた企業経営から皆働社会実現への提言
議員としての方向性
「税金を下げてくれ」これは、同世代のある市民の方が私におっしゃった言葉です。私は、現在2期目です。皆様からの温かいご支援を頂き、議員を務めさせて頂いております。小さなお声に耳を傾け、「政治とは何か」にお応えできるよう、今後も皆様の生活に寄り添う市政へと取り組む所存です。「小さな一歩 大きな改革!実現する政治を!」
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著者プロフィール
操 知子(みさお ともこ)
山県市議会議員(2015年から2期目)。小さな一歩 大きな改革!実現する政治を!~皆様の生活に寄り添う市政を~ 河村たかし政治塾第1期・第2期にて政治の在り方を学ぶ。今月のプレ塾(翌年1月正式開塾予定)にも参加予定。現在は代表を引き継いだが、2012年ボランティアくらぶを立ち上げ、まちおこしイベント「すいげん祭り」を皆様のご協力のもと、毎年開催している。
操 知子氏プロフィールページ
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