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[用語解説]予算編成

来年度、今年度、前年度……国会は常に予算と背中合わせ (2016/1/19 政治山)

関連ワード : 予算委員会 予算編成 国会 用語解説 

 平成27年度補正予算案が14日に衆議院本会議で可決され、参議院に送付されました。政府与党は、来年度予算案を22日に国会提出し、政府4演説も同日に行う方針です。補正予算は20日に成立する見通しで、予算審議を切れ目なく行って他の重要法案の日程を調整する見込みです。

予算編成の流れ

 国や自治体の予算案を作る一連の作業を予算編成といいます。税金などの歳入(収入)を、様々な政策に割り当てて歳出(支出)を決定する作業です。

 1年間の予算は、前の年に編成・審議され、当該年度に執行され、その翌年に決算が行われる3年がかりのサイクルです。どの年でも当該年度の予算を執行しながら、前年度の決算を行い、来年度の予算を編成・審議するという3年度分の予算が同時進行しています。本予算だけでなく秋に補正予算を組むのは恒例ですし、場合によっては年度末に暫定予算も組む必要があり、国会は常に予算と背中合わせです。

8月末までに概算要求

 日本の予算は1年ごとに決められる単年度予算です。財務省は毎年7月末の閣議了解を経て各省庁に概算要求基準(シーリング)を示します。この上限額を元に各府省庁が概算要求額を見積もり、8月末までに財務省に提出します。財務省は9月から査定を開始。主計局が各省庁担当者からヒアリングを含めた折衝を行い、予算要求を絞り込んでいきます。

今は行われていない復活折衝

 12月には政府が「予算編成の基本方針」を閣議決定。正式な予算案が決まる前に、大臣同士で内容の確認や交渉を行う「大臣折衝」などを経て、年末に政府としての最終的な予算案が閣議決定されます。決定は基本的に例年12月24日です。

 かつては12月中に財務省原案が各省庁に内示され、それから各省庁が予算の復活を求めて事務折衝と次官折衝、大臣折衝を行う「復活折衝」が行われましたが、民主党政権になって以降はこの過程がなくなり、予算編成がスムーズになりました。

夏と秋、地方からの陳情団で賑わう霞が関と永田町

 地方自治体の首長らが「災害に強いまちづくり」「ミッシングリンクの解消」などをテーマに予算化の要望書を携えて霞が関や永田町に陳情に訪れるのは、概算要求を提出する前の7月末から8月初旬、そして予算案が固まる前の11月が最盛期です。

国土交通省

陳情がとくに多い国土交通省(同省ホームページより)

 この時期、議員会館や各党本部・各省庁に近い町村会館や砂防会館、都市センターホテル、JA共済ビル、日比谷公会堂など大ホールがある施設で各種団体の全国大会が開催され、一致団結の気勢を上げた後に各自治体や地方エリアごとにチームになって、各省庁や政党本部、議員会館などに向かいます。特に11月は議員会館のロビーに団体一行が大挙して待ち合わせをしている光景が見受けられます。この時期、入館者数は3倍に増えると言われます。

1月から国会で審議

 閣議決定された予算案は、1月から始まる通常国会で審議されます。衆院予算委員会での議論を経て、委員会可決後に衆院本会議で可決されれば参議院に送られ、同じ過程を経て正式に成立します。年度内に成立しなかった場合は「暫定予算」が組まれ、日常的な経費や継続中の案件など必要最小限の予算を組みます。

衆議院予算委員会で答弁する安倍首相

衆議院予算委員会で答弁する安倍首相(官邸ホームページより)

予算には「衆議院の優越」保障

 予算は年度始めには成立しておくべき国の根幹に関わる政策です。このため、憲法60条で衆議院の優越が保障されています。具体的には、先議権と議決権です。議決権は、参議院が衆議院と異なった議決をした場合、両院協議会でも意見が一致しなければ最終的に衆議院の議決が国会の議決となります。

 政策には予算が付きものであり、予算の配分が国の方向性を決めるとも言えます。予算委員会によって予算案の中身が変わることはほとんどありませんが、「自分が払った税金の使い道を決めている」という視点でみれば、退屈な審議も少し違った角度から見えてくるかもしれません。

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