子供にツケをまわさない!公会計のあり方を問う(1/2)  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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子供にツケをまわさない!公会計のあり方を問う(1/2) (2014/8/5 政治山)

関連ワード : 公会計 財政 

東京・千代田区の千葉商科大学丸の内サテライトで3、4日の2日間にわたり、「自治体財政研究会」が開催されました。自治体財政研究会(以下、財政研)は、公会計研究所(代表・吉田寛千葉商科大学大学院教授)と千葉商科大学会計専門職大学院が共催する研究会で、2007年11月以降、首長や議員、自治体職員などを対象として、これまでに全国で35回開催されています。多くの自治体が財政の再建または健全化を求められている今、公会計をどのように読み解き、改めるべきなのか、財政研の取り組みを紹介します。

2日間にわたり、議員や候補予定者が熱心に耳を傾けた

2日間にわたり、議員や候補予定者が熱心に耳を傾けた

会計は単なる数字合わせではない

 1日目、会の冒頭では吉田寛代表より財政研の理念と公会計のあり方について、参加者へのガイダンスが行われた。吉田代表は「会計」という言葉の由来を司馬遷の『史記』から紐解き、「会計とは単なる数字合わせではない。人の能力を適切に評価して、適材適所を実現することだ」と指摘した。

 また、「代表なくして課税なし」「承諾なくして課税なし」の原点から、選挙権を持たない子供たちにツケを回してはならないと主張。まず現状を理解するために、正確なバランスシート(貸借対照表)の重要性を説いた。

吉田寛公会計研究所代表

吉田寛 公会計研究所代表

公共施設を壊す費用も、子供たちの借金に上乗せされる?

菅原敏夫地方自治総合研究所研究員

菅原敏夫 地方自治総合研究所研究員

 次に登壇したのは、菅原敏夫公益財団法人地方自治総合研究所研究員。菅原研究員は先月25日に発表された不交付団体(地方交付税の交付を受けない自治体)に触れ、1788自治体のうち97%は交付税なしに予算も作れない現状に警鐘を鳴らした。

 さらに、現在進められている公共施設等総合管理計画という「行政計画」について、「この制度によって、公共施設の除却(取り壊しや棄却)のための借金ができるようになった。借金は褒められたものではないが、後の世代も公共施設を使い続ける限り世代間の公平を実現することはできる。だが除却のための借金は誰が返すのか」と問題提起した。

国の施策を実施するだけなら自治体はいらない

福嶋浩彦中央学院大学教授

福嶋浩彦 中央学院大学教授

 続いて、元我孫子市長で消費者庁長も務めた、福嶋浩彦中央学院大学教授が「市民自治を理念とした自治体経営」について語った。福嶋教授は「国の施策をそのまま実施するだけの自治体はいらない、国の支所があればいい」と切り出し、市民自治を実現するための首長と議会の役割について述べた。

 我孫子市長を3期12年務めた自身の経験から、首長は市民と直接向き合い、議会とは緊張関係を保たなければならないと指摘。議会は議員同士が討議して合意する場であるべきとし、現在の議会のあり方に疑問を投げかけた。

 また、直接民主制と間接民主制を混同している例としてパブリックコメントを挙げ、「集めた意見を参考にして首長が決断するのがパブリックコメントであり、これは間接民主制による参政である」と解説した。

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 次のページでは「日本の地域再生における米国型PPP応用の可能性」「地方財政にやさしい環境政策」など、2日目の模様をレポートします。

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