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消費税増税にもっと怒っていい理由 (2014/4/28 政治団体日本一丸代表 大西恒樹)

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懸命に頑張るお母さんたち

 消費税増税から間もなく1カ月。政治山が、その影響を探るアンケート調査を主婦に対して行い、その結果が出た。これによると、節約する項目の1位が外食、2位が食費となり、ファッション・美容費、レジャー・娯楽費がそれに続いている。要するに、当面生きるために影響の少ないものから削り、教育費、医療費など、本当に大事なものは削らない傾向が読み取れる。

 年齢別に見ると、現役世代の切迫感が強く、世帯収入が低いほど切迫感が増す。子育て世代が6割ということだが、このアンケートから見えてくるのは、厳しい状況で自分のことはさておいても、家族のために懸命に頑張るお母さん像だ。

 その彼女たちの納得感を示すのがグラフ4だが、報道などで社会保障に使われることは知っていても、正直あまり信用していない本音が透けて見える。「わからない」が意外に多いのは、「何に使われるかわかったものではない」とも読み取れる。それでも、税収が足りないと思えばこそだが、実はもっと怒っていい理由がある。それは、政府の借金を国の借金と思わされているということだ。

グラフ4

「第17回政治山調査」より

国の借金と政府の借金は違う

表1 日本の経常収支

暦年 経常収支
(単位:億円)
ドル/円 ドル貨
(単位:億ドル)
1985 119,698 238.53 502
1986 142,437 168.51 845
1987 121,862 144.63 843
1988 101,461 128.15 792
1989 87,113 137.96 631
1990 64,736 144.79 447
1991 91,757 134.70 681
1992 142,349 126.65 1,124
1993 146,690 111.19 1,319
1994 133,425 102.20 1,306
1995 103,862 94.05 1,104
1996 71,533 108.77 658
1997 117,337 120.99 970
1998 155,277 130.90 1,186
1999 130,522 113.90 1,146
2000 128,754 107.76 1,195
2001 106,524 121.52 877
2002 141,397 125.38 1,128
2003 157,668 115.93 1,360
2004 186,184 108.19 1,721
2005 182,972 110.21 1,660
2006 199,142 116.29 1,712
2007 249,342 117.75 2,118
2008 166,617 103.35 1,612
2009 137,356 93.57 1,468
2010 178,881 87.77 2,038
2011 95,508 79.80 1,197
2012 48,236 79.79 605
2013 32,343 97.59 331
合計 3,740,983 114.84 32,575

(注)1985~95年までは12月速報値。ドル/円は年間平均レート
(出典)日本銀行 時系列統計データ検索サイト(外部サイト)

 実は、国の借金と政府の借金は全く別物だ。多くの人が混同しているが、日本政府に借金はあっても、日本国に借金はない。この違いを理解することは非常に重要だ。

 表1を見て頂きたい。これは1985年からの経常収支の額だ。経常収支とは、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の合計で、要するに国家としての対外収益のことだが、日本はほぼ毎年平均10兆円以上、30年弱で374兆円もの黒字を稼ぎ出し、ドル貨にして3.2兆ドル以上の対外資産を持っていることがわかる。これが国家としての収支であり、日本は2位の中国をダブルスコアで引き離す世界一の債権国なのだ。つまり、30年間ダントツ世界一の金持ち国である。

 そんな国の主婦たちが、何故、食費を削り、お洒落も娯楽も我慢し、子育てに汲々とせざるを得ないのだろうか? それはその資産が、単に正しく分配されていないからだ。例えて言うなら、家が毎月赤字だと思って節約していたら、実はどの家よりも大きな資産があったというに等しい。普通の主婦なら怒るだろう。

世界一輝くべき日本の女性たち

グラフ8

「第17回政治山調査」より

 何故そうなっているのか、どうやって解決するか、それは長くなるのでここでは説明しないが、少なくとも消費税増税は逆の方向だ。本アンケートが示す通り、それは支出を減らし、やがて彼女たちや彼女たちの夫の給与を減らすだろう。何故なら、全ての支出は誰かの売上であり、コストを削れば売上も減るからだ。それは政府支出とて例外ではない。だから、仮にオバマ大統領と我が国の首相がすきやばし次郎で3万円の寿司を食べたとしても、それは二郎さんの売上になるのだから一向に構わない。

 しかし一方で、本来なら世界一お洒落をして生活を楽しみ、輝くべき日本の女性たちが、自らの食費を削り、お洒落も我慢して子どもたちを必死に育てなければならない現実が、それに違和感を感じさせたとしても不思議ではない。グラフ8の結果は、そんな違和感の表れとも言える。つくづく女性は誤魔化せないと実感するアンケート結果である。

大西恒樹氏 政治団体日本一丸代表 大西恒樹
1964年生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒。1986年~J.P.モルガン銀行資金部為、1991年~バンカース・トラスト銀行で為替、日米国債先物、株先物などをトレーディング。1996年、株式会社インフォマニア代表取締役。2011年、政治団体日本一丸設立。
国際金融の視点から財政、金融問題をわかりやすく解説、解決策を説く啓蒙的政治活動を展開。日本から世界を変える動画シリーズを配信中。
関連リンク
大西恒樹の「日本から世界を変える動画シリーズ_vol_001_消費税」(外部サイト)
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