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第5回政治山セミナー開催

ネット活用は選挙時だけではなく普段から、経験と信頼の積み上げが大事 (2014/3/28 政治山)

多くの参加者を集めて開催された第5回政治山セミナー

多くの参加者を集めて開催された第5回政治山セミナー

 政治山は28日、国会議員や地方議員など、政治家を対象にした第5回政治山セミナー「地方選挙におけるネットの利活用とリスク対策~ネット選挙解禁から都知事選における家入かずま氏のネット活用を検証~」を、東京・港区の株式会社パイプドビッツ東京本社で開催しました。地方議員や国会議員秘書、政党職員を中心に56人にご参加いただき、1年後に控えた統一地方選挙に向けて「地方選挙におけるネットの利活用」をテーマに講演を行いました。

 「政治山セミナー」は、ネット選挙解禁による新たな選挙戦への対策やネット活用の方法を解説するために企画されたものです。今回は、2月に行われた都知事選の候補者・家入かずま氏の選挙キャンペーンマネージャーを務めた松田馨氏を迎え、参院選と都知事選におけるネット活用の検証を交えて講演していただきました。また、ソーシャル・ビッグデータの検索・分析や、そのデータを活用した風評モニタリングに定評のある株式会社ホットリンクと、当社運営サイト「政治山」が、ネット選挙の戦い方とリスク対策の事例を紹介しました。

バーチャルからリアルへ、実際に有権者をどう動かすかが課題

 第1部に行われた講演では、松田氏が「ネット選挙解禁で変わる日本の選挙~参院選と都知事選の事例から」と題し、これまでの選挙におけるネット活用事例を検証しながら、選挙や政治活動におけるインターネットの位置付けや活用時の考え方などを解説。ネット選挙解禁について「今までの選挙活動にプラスして、できることが増えたということ。使わない手はない」「期待外れのように言われているが、報道の仕方も残念だった」と、解禁からこれまでを振り返りました。

インターネットは空間。新たな活動場所が増えて、そこでどう活動していくかということが非常に重要と語る松田馨氏

インターネットは空間。新たな活動場所が増えて、そこでどう活動していくかということが非常に重要と語る松田馨氏

 また、都知事選での家入陣営の取り組みを紹介し、そもそもの前提として「通常の選挙では当選するためにアドバイスをするが、家入氏は勝つ気がなかった。しかし、勝つ気がない選挙だからできることがある」と考え、選挙違反を出さないことに注意して、ネットの特徴を存分に活用しながら多くの人を巻き込む選挙戦を展開したと語りました。活動資金をクラウドファンディングで集める、掲示場にポスターを貼ってくれるボランティアを集める、政策を作り上げることまでネットで様々な人に参加してもらったという実例を紹介しながら、「人は面白いから参加する。特に20代、30代に参加を呼び掛けるのも狙いだった」と言います。ただ、「ネット上で参加したからといって行動にまで移すかというと、そこは難しい。バーチャルからリアルへどう動かすかが課題」と総括しました。

 地方選挙については、マスコミも立候補予定者も“ネットを使ったら、何もない自分がいきなりスターになれる”みたいな勘違いや、そういう幻想を持った人が多いということを話し、あくまでも選挙戦においてインターネットはプラスアルファだと説明。「従来の選挙活動をやりながら、ネットやITのツールを活用して、少しでも地上戦と空中戦の効率を高めていくということが重要」「選挙期間中にネットが使えるようになったが、それよりも重要なことは、政治活動期間中でどういうふうにネットを活用していくかということではないか。ネットをツールとしてどう使うかというよりも、新たな活動場所が増えて、そこでどう活動していくかということが非常に重要」と語りました。

メッセージがより強く伝わる場所へ有権者を呼び込むためにインターネットを使おうと提唱する浅野弘輔氏

メッセージがより強く伝わる場所へ有権者を呼び込むためにインターネットを使おうと提唱する浅野弘輔氏

 続いて、株式会社ホットリンクのソリューション事業部 開発グループ チーフアーキテクトで、ソーシャルメディア分析ツールの開発をしてきた浅野弘輔氏から「2014年都知事選のソーシャルメディア分析から見える、候補者のネット選挙の戦い方と有権者の反応」と題した事例紹介が行われました。ここでは都知事選候補者のソーシャルメディアにおける情報発信について、発信内容の傾向やユーザー(情報を受け取る側)の反応を紹介。結果として、「ネット上の発言だけでは支持は広がるようにはならない。しかし興味を持った人に、候補者からのメッセージを直接、1次情報として伝われば、より関心を持ってもらえる」とし、そういう情報をしかるべき人に届ける工夫が必要と分析しました。発信するコンテンツについては、「選挙時とそうでない時は有権者の関心が違うため、それに合わせた情報発信が必要となる」「回数を重ねていくことにより発信の仕方やコミュニケーション内容が洗練されていくので、日ごろの政治活動の中で情報発信して、経験と信頼を積み上げることが大事」とアドバイスしました。

 最後に登壇した株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャーの市ノ澤充は、ネット選挙解禁後に実際に起こった事例を挙げて○×クイズをしながら、ネット選挙のポイントを紹介、「やっていいこと、やってはいけないことをしっかりと押さえて、運用することが大事」と語りました。

次々と手が挙がる質問に答える講師陣

次々と手が挙がる質問に答える講師陣

また、参院選前後に実施した政治山調査の結果を紹介し、選挙前にはネット選挙に対する有権者の期待値が高かったが、選挙後は求めていた情報が得られなかったとの回答が多かったことから、「期待値が高かったからこそ、ニーズを満たす情報が適切なタイミングで発信することができれば、効果は少なくない」と分析しました。「ターゲットを細分化して、伝えたいメッセージを、どのような方法、どのタイミングで伝えるかがポイント。選挙に勝つためだけではなくて、実際に議員になってから活動をする時にも必要な考え方」とのメッセージを伝えました。

 第2部は質疑応答。会場から具体的な質問が活発に飛び出し、地方議員や立候補予定者の皆さんが1年後の統一地方選を見据えて動き出そうとしている雰囲気がうかがえました。

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 政治山では今後、このようなセミナーを随時開催します。次回以降の詳細は、ホームページやツイッター、Facebookなどでご紹介していきます。どうぞご期待ください。

 

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