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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4)◆6月値上げの攻防◆  株式会社フィスコ 2017年6月4日

関連ワード : 消費者 金融経済 

インフレ強弱、方向感に戸惑い

5月31日現在の業種別株価指数を見ると、前月比騰落率(TOPIX+1.86%)は18業種がプラス、15業種がマイナスだった。プラスで突出したのは、任天堂効果の大きい「その他製品」+11.11%、2位が「食品」+7.85%、3位がソフトバンク効果の「情報通信」+6.24%。なお、マイナス1位は「石油・石炭」の-4.02%。

突出した牽引役が見当たらない「食品」の上昇は、値上げ効果、あるいは輸出拡大を期待してのものと考えられる。ディフェンシブセクターとしてよく一緒に買われる「医薬品」が+1.03%、前年比マイナス圏に止まっているのと対照的だ(医薬品は医療費抑制、薬価引き下げの圧迫がある)。

「6月値上げラッシュ」として、バター、小麦粉、安売り規制のビール、はがき、タイヤ、電気、ガス、運送費などがある。また、「和食ブーム」の流れで、日本製食品の輸出増が期待されている。カルビーが中国電子商取引最大手のアリババグループと組み、8月から越境ECサイトでシリアル商品「フルグラ」の販売を開始すると発表。2-3年で日本市場並みの年300億円規模を目指す。話は小さいが、群馬県は16年度の県産農畜産物の輸出が9億8880万円、前年度比1.2倍、過去最高になった発表した。中国産に押されてきた特産のコンニャク(とくにEUで、「パスタ代わりにしらたきを食べる」と言われる)、和牛の拡大による。

4月の消費者物価指数は+0.3%、反面、全世帯実質消費は-1.4%と、消費のせめぎ合いが続いている。製品値上げと賃上げの好循環で「デフレ脱却」が出来るかどうか、重要な綱引き局面にあると考えられる。これはレベルの差はあれ、世界的に共通の流れで、いわゆる「出口戦略」に向かっての過渡的局面にある。1-3月は前年比で原油上昇の効果が大きく出たが、4-6月は原油相場のもたつきで、早くも効果が剥げ落ちている。米利上げシナリオにも大きく影響すると思われるが、昨日はベージュブック(地区連銀報告)で物価上昇圧力の弱さが指摘され、米10年物国債利回りは再び2.2%割れの攻防となっている(その割には株式や為替は波乱とならなかったが)。投機筋がインフレ率低下を見越して動いていると思われるだけに、当面の焦点となろう。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/6/1号)

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