NYの視点: 今週の注目は、米ベージュブック、世銀・IMF合同開発委員会、中国GDP 株式会社フィスコ 2017年4月17日
今週は地政学的リスクを警戒した動きが継続する。また、トランプ米大統領によるドル高牽制発言や、「低金利が好ましい」とした金利政策に関する見解を織り込むドル売りが継続すると予想される。トランプ大統領はまた、今まで掲げてきた公約を転換、中国を通貨操作国と認定しない方針を示した。世銀・国際通貨基金(IMF)は21-23日にワシントンで合同開発委員会を予定している。この会合での声明発表は予定されていない。米財務省は為替問題に関してIMFに厳格な分析を要請。貿易改革や為替報告書の作成においての参考にしていくと見られる。また、ムニューシン米財務長官が約12か国と、2国間協議を予定しており、貿易改革や通貨問題に焦点があたることもドル買いを進めにくい環境となる。
北朝鮮、シリア情勢が緊迫化すると同時に、「互いの信頼が最低水準」と評価する米露関係の悪化も懸念材料となる。挑発があれば核攻撃も辞さないと、北朝鮮は米国に警告。25日には人民軍創建日を迎え、北朝鮮による核実験などが懸念されている。
さらに、イランの核開発脅威もぬぐえない中、イラン保守強硬派として知られたフムード・アフマディネジャド前大統領が、来月19日に行われる大統領選への立候補を届け出た。アフマディネジャド前大統領はイランの核開発計画の支持者である。トランプ米大統領は選挙中から前政権下で合意されたイラン核合意の内容がひどく、破棄すべきだとの見方を示しており、米国とイランの関係にも警戒される。
米国の金融政策では、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する地区連銀報告(ベージュブック)に注目が集まる。この結果は次回5月に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での材料となる。FOMCは前回3月に昨年12月に続き利上げに踏み切ったのち、5月会合での利上げは見送る見込み。ただ、市場は6月の利上げを織り込みつつある。もし、ベージュブックで経済が緩やかな成長を続け、物価や賃金に圧力が見られた場合、6月の利上げを後押しすることになる。
■今週の主な注目イベント
●21−23日:世銀・IMF合同開発委員会
ムニューシン米財務長官が約12か国と、2国間協議を予定
●中国
17日:国内総生産(GDP):1−3月期GDP予想:6.8%(前期6.7%)
●日本
17日:黒田日本銀行総裁会見
●米国
17日:フィッシャー米FRB副議長が講演
18日:ジョージ米KC連銀総裁
19日:米連邦準備制度理事会(FRB)がベージュブック公表、ローゼングレン・ボス
トン連銀総裁講演
21日:カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演
●地政学的リスク
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ
北朝鮮
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