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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3)◆二正面作戦を嫌う◆  株式会社フィスコ 2017年4月16日

関連ワード : シリア 北朝鮮 外交 安全保障 金融経済 

対シリア、北朝鮮の二正面展開を嫌う

対北朝鮮情勢が一段とザワついてきた。国内ニュースでは、外務省が韓国への渡航、滞在者に注意喚起(危険情報ではない)を出し、19日に予定されていた横須賀の日米交流行事が米海軍の都合により中止となった。韓国は流言飛語を交えて急速に緊迫度(シティバンクが支店を閉鎖するなど)を高めている。週末には米空母カールビンソンが半島周辺に到着するとの報道があり、一連の行事の過程で北朝鮮が暴発するのではないか、との懸念から煽られている。11日付豪紙が、米政府が豪政府に対し、北朝鮮ミサイルの迎撃準備が整ったと通知し、厳戒態勢で備えるよう要請したと伝えた。

先週来、中国・吉林省の地下銀行摘発(16年に開始)、マレーシア政府が北朝鮮指導部への送金疑惑を調査、中国港湾に向かっていた複数の北朝鮮貨物船が荷物満載のまま北朝鮮に引き返している、など経済制裁強化のニュースも相次いでいる。軍事力、資金力、物資力などから見て、北朝鮮には全面戦争を戦う力は無いが、局所的なソウル攻撃、日本を含むミサイル攻撃、テロ活動などのリスクがある。それを防げるかどうかが焦点となっている。米国は当面、中国に人参(貿易摩擦緩和)をチラつかせながら、中国の圧力で扉を開かせようとしているが、北朝鮮の暴発リスクを回避できるか不透明だ。

一方、北朝鮮の核・ミサイル開発に反対姿勢を表明してきたロシアが外務省声明で、対北朝鮮の米軍事行動に懸念を表明した。シリア問題で開催されたG7外相会合は、ロシアのアサド政権支援姿勢の転換を求め、ロシアが強く反発する状況にあり、二正面作戦が米ロ関係の決定的な決裂を招くリスクが出てきている。今日、米ロ外相会談が開催されるが、プーチン大統領はティラーソン国務長官に会わない見込みで、一致点が見出せるか不透明。ロシアは今週末にイラン・シリアとの外相会談をセットした。

緊迫感から米市場でリスク回避が強まった。株価は小幅安に持ち直したが、債券が買われ10年物国債が2.3%割れ、30年債が3%割れ、ドル円は110円割れ、原油相場が1バレル53ドル台に上昇した。またしても週末に向けて緊迫感が高まると見られるが、14日は聖金曜日の祝日で米金融市場は休場となる。早めのリスク回避の動きの印象だ。なお、23日の仏大統領選についても、左派候補の支持伸長で混迷度が深まると懸念視されている。

アク抜けも期待された東芝の4-12月期決算発表だが、「監査意見無し」での発表となった。記者会見を見ていた限りでは、上場廃止に近付いた印象で、機関投資家が処分(既にヘッジ売りしていた場合は買戻し)に動かざるを得ないと見られる。勝負は5月中の本決算発表となるが、異常決算を脱せるか極めて困難な印象だ。東芝問題が何処でアク抜け転換するか、注視する流れとなろう。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/4/12号)

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