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NYの視点:トランプ政権で米財政収支は大幅悪化の可能性 株式会社フィスコ 2016年12月28日
トランプ氏の経済政策に対して市場は高い期待を示しており、拡張的な財政政策に対する評価もまずまず良好だ。多くの先進国が長期停滞に直面しているが、米国がこの状況を打破しようとすることを市場は歓迎しているようだ。
ただし、トランプ氏が提言する所得税・法人税の大型減税と、インフラ投資・国防費の増額によって財政赤字が大幅に拡大する可能性が高いことが懸念されている。米財務省が12日に発表した11月財政収支は、1366.5億ドルの赤字だった。赤字額は前年同月比+111.7%、すなわち倍増した。市場関係者が懸念しているのは、11月の歳入が前年同月比-2.5%となったことだ。歳出額は24.9%増加した。
歳出を増やすことは難しいことではないが、歳入を増やすことは歳出を増やすことよりもはるかに難しい。税率を上げると税収増が期待できるが、税率の上昇に応じて税収が増えるとは限らない。トランプ氏が提言する拡張的な財政政策によって歳出は大幅に増加するが、歳入も一定規模の増加となるかどうか定かではない。
拡張的な財政政策を採択する場合には、将来的な税収増につながるスキームを別途用意することも必要になる。この点について市場が納得できる整合性のあるプラン/スキームをトランプ陣営が提示できない場合、トランプ氏が米大統領に正式就任する1月20日の前に「トランプラリー」は一段落している可能性がある。
<WA>
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