エルニーニョが消費税増税の鍵を握る可能性 株式会社フィスコ 2014年6月12日
気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表した。
気象庁の発表によると、5月はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない「平常の状態」だったが、エルニーニョ現象の発生に近づいたという。今後は海面水温が基準値より高くなると予測され、夏には5年ぶりに本格的にエルニーニョ現象が発生する可能性が高く、水温の高い状態は秋にかけても続く見通しだ。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高い状態が1年程度続く現象で、数年に1度発生する。ひとたびエルニーニョ現象が発生すると地球全体の大気の流れが変わり、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられている。日本付近の偏西風は平年より南寄りを吹き、太平洋高気圧の北への張り出しが弱くなるため、梅雨が長引いたり、日照時間が短くなったりと、冷夏や暖冬になりやすい傾向がある。
前回エルニーニョ現象が発生した2009年には、夏には北日本と東日本で冷夏となった。7月には中国・九州北部地方で豪雨により災害が発生し、東北、北陸、中国地方では梅雨明けの時期が特定されなかった。また、全国的に9月は雨が少なくて、沖縄・奄美では秋の気温が平年よりかなり高かった。
屋内にいても熱中症を心配するほどの猛暑よりも冷夏になるほうが過ごしやすくていいような気もするが、やはり暑い時期には暑くないと農作物に与える影響は深刻になり、百貨店や小売、旅行業界などの売上の落ち込みなどその影響は広範囲に及ぶと思われる。
エルニーニョ現象が発生して冷夏になった場合、消費の落ち込みを通じて7~9月期の日本の実質GDP(国内総生産)は0.9%近く押し下げられる可能性があるとの試算を発表したエコノミストもおり、この夏の消費動向は政府による来年10月の消費税率を10%へ引き上げる際の判断に直結するだけに注意が必要だ。 <YU>
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