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河野談話検証の影響? シンガポール首相の日中韓友好提言、日本批判と一部報道  ニュースフィア 2014年6月27日

 シンガポールのリー・シェンロン首相は24日、米ワシントンの外交問題評議会での講演で、「日本の成功を祈る」パートナーとして、日本・中国韓国に、第2次世界大戦をもう済んだ話にするよう、強く勧告した。

「第2次世界大戦を過去のものとし、慰安婦問題、侵略行為、戦争中にひどい行為があったかなかったかについて、蒸し返すことを止められなければ、このことはずっと続く苦痛の種になってしまうと思います」と、リー首相は述べたという。

【提言はどの国に向けられたものなのか】
 ロイターは、日本だけでなく、中国、韓国へ向けたメッセージでもあることを伝えている。リー首相は「日本人だけでできることではない。手を叩くには両手が必要で、中国人と韓国人も必要なのです」と語っている。

 AFPは、日本政府が先日、河野談話の検証結果を発表したことを踏まえて、この提言は日本だけに向けられたものとして報じている。蒸し返しているのは日本の側だ、と読めるようになっている。

 さらに同メディアは、安倍首相を含む少数右派が、慰安所では職業売春婦が働いていた、とこの問題に疑問を投げかけ続けている、と報じている。なお安倍政権は河野談話を見直さないと明言している。

【安倍首相の論説の内容は?】
 特に中国との関係は、歴史問題だけでなく、尖閣諸島をめぐり安全保障面でも緊張状態にある。

 これに関して、安倍首相は、「軍事透明性とアジアの安全」と題する英文論説を、世界154ヶ国の報道機関に要人の論説を配信する『プロジェクト・シンジケート』に寄稿した。安倍首相はこれまでにもたびたび、国際社会に向けて英文で寄稿を行っている。

 論説の内容は、5月30日にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議において、安倍首相が行った基調講演とおおむね重なっている。日本はアジアの平和と繁栄のために、いかなる努力も惜しまない、との決意が語られている。日本が現在どのように貢献しているか、また今後の取り組みを明らかにしようとしている。

 論説は、大まかに言って、4つのパートからなる。

1. 軍拡競争を防ぐため、アジア各国の軍事予算の透明化が必要。
2. 地域の海、空の安定のために、法の支配が重要。そのための日本から各国への支援。
3. 日本はなぜ集団的自衛権を必要としているか。
4. 「新しい日本人」が担う「積極的平和主義」とはどのようなものか、その具体例。

 表立って語られてはいないが、今後、日本とASEAN諸国が力を合わせて、いかに対中国包囲網を築いていくか、ということに焦点が当てられているのは、一読して明らかだ。

【アジアの繁栄のために、軍拡競争を食い止めなければ】
 少し細かく見ていこう。

 第1のトピックについて、安倍首相は、軍拡を食い止め、武器貿易条約の締結国を増やし、国防当局間の相互理解を深めることが、いまアジアが直面している最重要の論点だと語る。そして、中国や米露も参加する東アジア首脳会議を、それを論議する第一の場とすることを提言している。

「軍拡は、世界経済の中心たらんとするアジアの動きとは、本質的に相いれないものです。繁栄の成果は、人々の生命を奪い去ってしまう可能性のある武器にではなく、人々の生活を向上させることへと再投資するべきです」と首相は呼びかけている。

【日本の国際協力は今後ますます重要に】
 第2のトピックについては、ASEAN諸国が海、空の安全と、自由な航行を確保しようとするのを、日本は最大限に支援していく、と述べる。そのために、ODAを通じて、インドネシアに巡視船3隻を提供したこと、また今後フィリピンにも10隻提供することを挙げた。また、機材面だけでなく、ASEAN主要5ヶ国から海上法執行機関の幹部職員を日本へ招き、1ヶ月の研修を行うなど、人的交流も進めているとした。

 第3のトピックについて、首相は、いかなる国も、もはや、自国の平和を単独で守ることはできない、と語る。それゆえ、集団的自衛権と、国連PKOを含む国際協力のため、法的基盤を再編成することは、日本にとって義務である、と述べる。

 第4のトピックについて、日本は、国としての規模と経済資源にふさわしい、世界的な責務を引き受ける「新しい日本人」を必要としている、と述べる。「新しい日本人」は、アジアの平和に積極的に寄与するだろうと語る。

 フィリピンのミンダナオでは、40年にわたり独立を求める紛争が続いていた。日本は2011年、ベニグノ・アキノ 3世大統領と、モロ・イスラム解放戦線のムラド・イブラヒム議長の会見をお膳立てした。そして、この3月、両陣営はついに包括的な和平合意に達した、と首相は語る。現地に女性のための職業訓練校を設立したほか、今後も地域の支援を続けるとしている。


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NewSphere編集部
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