【社会】安倍首相夫人がLGBTイベントに登場 保守派の首相に対し“家庭内野党”…海外からは高評価 ニュースフィア 2014年5月1日
性にさまざまなかたちがあることをアピールするイベント「東京レインボープライド 2014 ~パレード&フェスタ」が、27日、渋谷で開催された。その中心となる「プライドパレード」には、主催者発表によると、およそ2300人が参加し、沿道からは約2000人が見守った。パレード参加者には、首相夫人の安倍昭恵さんの姿もあり、内外で広く報じられた。
盛大に行われたLGBTの“祭典”
このイベントは、LGBT、すなわち、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといった性的マイノリティーに属する人たちが、差別や偏見なく、ふつうに暮らしていける社会を目指して、性の多様性について広くアピールすることを目的としたものだ。後援には、アメリカ大使館やイギリス大使館も名を連ねている。
パレードは、鼓笛隊やDJが音楽を奏でる中、装飾を施したフロート(山車)が先導した。その上ではドラァグクイーンなどが踊った。参加者は、LGBTのシンボルであるレインボー柄を身に付けたり、思い思いのメッセージを書いた旗などを持って、練り歩いた。
昭恵さんがパレードに参加したきっかけとは?
LGBTニュースサイト『Gay Star News』は、昭恵さんが白のスーツに虹のバッジをあしらって登場したことを伝える。また昭恵さんがフロートに乗り、ドラァグクイーンのすぐ脇で、にこやかに手を振る姿の写真を、自身のFacebookページに掲載したことを紹介している。
同サイトは、「AIDS IS NOT OVER エイズはまだ終わっていない」と書かれた看板を持ったパレード参加者がいたことに触れる。そして、昭恵さんが、国際的なエイズ対策のあり方について論議する「UNAIDSランセット委員会」の委員を務めていることを伝える。委員就任時に行ったスピーチで、昭恵さんは、声なき人々の声を拡大して伝えるアンプとなることを、自身の使命とする、と述べている。
今年1月の朝日新聞のインタビューでは、自分は「家庭内野党」だと、自他ともに認めているが、これは役割分担のようなもので、夫と相いれない意見を持つ人たちともネットワークをつないでいくことだ、と説明している。安倍首相がフォローできないところまで、積極的にフォローすることを、昭恵さんは目指しているように思われる。なお、安倍首相はこの日、東日本大震災からの復興状況を把握するため、岩手県を訪れていた。
海外メディアが伝えた、昭恵さんの人となり
LGBTQニュースサイト『LGBTQ Nation』も、昭恵さんのパレード参加を報じている(Qは「クィア」ないしは「クエスチョニング」の頭文字)。
昭恵さんの人となりについて、従来の日本のファーストレディーとはちがって、はつらつとした自信を発散している、と語る。そして、自分の考えを率直に語り、その意見は、進歩的な考えを持つ人たちから、よく共感を呼んでいる、とする。夫の安倍首相が保守派なのに対して、自身はリベラルな傾向を持つことで知られている、と伝えている。
ネットユーザーからのコメント
このニュースに対して、ソーシャルニュースサイト『レディット』には、
・すばらしいパレードだ。そして、昭恵夫人が参加したこともすばらしい。この問題について、彼女が夫に言い聞かせることができるといいな。
とのコメントが寄せられていた。『LGBTQ Nation』には、
・日本を愛する理由がまた一つできた。
・日本のドラァグクイーンを見たのは初めてだ。
・すごくかっこいいね。
そして『Gay Star News』には
・感動した。とてもうれしい…寛容と支持を示すには、これは完璧な方法だよ。ありがとう、昭恵さん。
とのコメントが寄せられた。
英語弁論大会で、日本の高校生がカミングアウト
LGBTニュースサイト『Advocate』は、日本でのニュースとして、英語弁論大会で、17歳の男子高校生が、同性愛者であることをカミングアウトしたことを伝えている。この弁論大会は、昨冬、札幌で行われたものだ。
同生徒は、ロシアで昨年6月に可決された「同性愛宣伝禁止法」を取り上げ、「どうして同性愛者は差別に直面しなければならないのか」と問う。「同性を愛することは罪悪なのか。法律で愛や人の心を抑えつけることはできない」と彼は語る。この法律については、人権侵害であるとして、のちに各国首脳がソチ・オリンピックの開会式出場を取りやめる原因になったとされている。
彼は、中学生のときに自身が受けた差別体験を語る。クラスメートから拒絶され、まるで人ではないかのように扱われたという。また、西洋諸国では、同性愛者は社会の一部とふつうに見なされているのに対して、日本では孤立させられている、と語る。今日カミングアウトしたのは、その状況を改善するための一歩としてだと、彼は説明している。
『Advocate』は、勇気ある高校生が、LGBTの権利と平等について、感動的なスピーチを行った、と評した。