【海外】「死者ゼロ」日本の客船沈没事故に、韓国紙注目 安全運行に関する対策の違いとは ニュースフィア 2014年4月30日
韓国で起きた旅客船セウォル号の沈没事故をめぐり、5年前に日本で起きた旅客船ありあけ号の事故との類似性が指摘されている。
「事故白書」を作成するも、過ちを繰り返す韓国
2009年、旅客船ありあけ号が東京から沖縄へ向かう途中、三重県沖で沈没した。
セウォル号とありあけ号は同じ造船所で建造され、同じ運航会社が運営し、ほぼ同じ時間に沈没しており、単なる類似ではなく「ほぼ同じ」だと、タイム誌は報じている。
ただ、セウォル号の事故では多数の死者・行方不明者が出たのに対し、ありあけ号の事故では死者はゼロだった。
同誌は、ありあけ号の事故以来、日本は船舶の安全な運行のための措置を講じており、そのマニュアルによりセウォル号の悲劇は防げた可能性があると指摘した。
朝鮮日報は、1993年に起きた西海フェリー事故で「事故白書」を作成するも、似たような事故が繰り返されたと指摘。韓国では初歩的なレベルの安全対策も定着しておらず、国家記録院のサイトで「事故白書」を検索しても「オンライン未公開」「内容によって閲覧制限」となっていることを報じた。
同紙はまた、イギリス政府は全ての海難事故に関する白書をサイトで公開、日本は他国の災害についての白書まで作成していると報じている。
船体引き揚げに、日本・中国の支援を要望
今、韓国では、船の残骸の引き揚げ方法についての議論が高まっているという。
セウォル号自体の重さは6000t以上だが、積み荷や流れ込んだ水の重さをあわせると1万t超とみられている。現在、事故現場に5つのクレーンと浮きドックが設置されているが、船体が逆さ状態のため引き揚げが難航しているという。
ありあけ号(7900t)も事故当時、セウォル号と同じく積み荷が片側に移動し、クレーンでの引き揚げ作業に1年以上かかっている。
韓国国際放送交流財団のニュースサイト『アリラン』は、「韓国には専門知識はないが、興味深いことに、(2012年に沈没したイタリア客船)コスタ・コンコルディア号引き揚げのフェーズ2の方法を使うつもりだ。だから先例がある。簡単ではないが、国際的な支援と経験がある」と報じた。
韓国政府はクレーンと荷船の貸し出しを中国に要望、セウォル号をつくった日本の造船所に支援を求めているという。