【社会】ヤフー、イーアクセス買収で「Y!モバイル」スタート 海外紙は強い不信 ニュースフィア 2014年3月31日
インターネットポータル大手ヤフージャパンは27日、無線接続や音声通信事業を行う携帯プロバイダ、イーアクセス社を3240億円で買収すると発表した。イーアクセスは6月1日にウィルコム社を買収する予定であり、それを待って合併したのち、新サービス「Y!モバイル」をスタートするという。
しかしヤフー株は10%ほども急落した。国内での携帯ネットアクセス需要の拡大を背景に、同社は買収によって「オンライン広告、eコマース、デジタルコンテンツビジネスに弾みをつける」と豪語しているが、市場からは歓迎されていないようなのである。
粉飾?結局全てはソフトバンク帝国
イーアクセスは現在、ソフトバンク配下にある。ソフトバンクは2012年、イーアクセスの持つ帯域を目当てに、1800億円でこれを買収した。だがヤフージャパンもまた、米国ヤフー本社(35%)を上回る42~43%がソフトバンク所有となっており、結局は「ソフトバンク帝国内での再編成」ということになる(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
ブルームバーグは、「粉飾」との専門家の表現を引用した。また、2012年10月総務省パネル内で、ソフトバンクとイーアクセス、それぞれが新しい帯域割り当てを受け取った直後の合併を、問題視する意見が出たことも指摘している。
なおヤフージャパンはイーアクセス株式の99.7%を取得するが、議決権としては33.3%にとどまる。残り、3分の2の議決権が付いたわずか0.3%の株は、すでにソフトバンクが2013年1月、サムスン電子の子会社など11社に売却していた。
私の年収、低すぎ?
ニューヨーク・タイムズ紙は、イーアクセスとウィルコムの合計利益は昨年3月までの事業年度に101億円に過ぎなかったと指摘する。つまり収益実績の32年分という買収費用は、割高過ぎるのではないかということだ。ソフトバンクは、イーアクセスの売却で557億円の利益計上を期待しているという。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ヤフーが携帯通信業界に参入しても、「その先、NTTドコモやKDDIといったはるかに大きい通信企業だけでなく、自身の親・ソフトバンクとも競合することになる同社は、日本の超過当競争な通信市場に自分の居場所を切り拓くだけの創造性を必要とする」、と不安視する。同社の宮坂学社長は、市場シェア獲得のため大幅値下げが必要なのではないかとの質問に、コメントを避けたという。