【海外】中国、ウイグル族に対する弾圧強化か? 街には「ウイグル族お断り」の張り紙も NewSphere(ニュースフィア) 2014年3月19日
1日、中国雲南省の昆明駅で、刃物を持った集団に人々が無差別に襲われる、という事件が発生した。29人が犠牲になり、130人以上が負傷した。
犯人はウイグル族の過激派と当局
警察は、犯人グループのうち、4人を現場で射殺、1人を拘束した。さらに後日、犯人グループの3人の身柄を拘束した、と公安省が発表している。これについては、事件が起こる前の2月27日に、すでに別件で逮捕されていた、という報道がある。
事件翌日の2日早々に、昆明市当局が、事件を「新疆ウイグル自治区の独立派による組織的テロ」と発表した。事件後、中国では、ウイグル族への差別、中国政府によるウイグル族への弾圧が進んでいる、と海外メディアが報じている。
民族問題の抑え込みは、中国にとって「核心的利益」
中国は、漢族と55の少数民族からなる。現在、中国の人口約13億人のうち、92%までを漢族が占めている。ウイグル族はトルコ系民族で、イスラム教徒であり、中国全土には約1100万人がいる。新疆ウイグル自治区を主な居住地としており、そこで800万人以上が暮らしている。
新疆は、中国の北西端に位置し、石油、天然ガスなど、資源が豊富な土地だ。独立運動は存在するが、中国政府は、新疆を国の「核心的利益」の一つと見なしており、絶対に認めない構えだ。政策的に漢族を大量に移住させ続けた結果、現在、同地におけるウイグル族の人口比は、50%を下回っている。
新疆の首都であるウルムチでは、2009年に大規模なデモが発生。治安部隊と衝突し、当局発表によると、197人が死亡、1600人以上が負傷した。
昨年10月には、天安門広場において、車が歩道に突っ込む事件が発生。2人が犠牲になり、38人が負傷した。北京市当局は、ウイグル族活動家による組織テロと断定した。
中国国内で深刻化するウイグル族への差別・弾圧
昆明駅での事件後、ウイグル族への差別が進んでいる様子が、ネットを通じて観察される、とロイターが伝えている。テロリスト扱い、ホテルでの宿泊拒否、タクシーの乗車拒否などの例が見られるという。記者は、昆明のホテルやレストランで、「ウイグル族お断り」の貼り紙を目にしたという。
アメリカの新唐人テレビは、中国共産党に対して批判的な放送局であるが、より深刻な話を伝えている。雲南省紅河ハニ族イ族自治州の沙甸鎮という町で、900人いたウイグル族住民が、全員、新疆に強制送還された、というのだ。これが事実であるとすれば、重大な人権侵害である。昆明駅の事件の犯人らは、かつてこの町に住んでおり、先月、容疑者3人が逮捕されたのも、この地であったとされている。さらに、紅河州のすべてのウイグル族住民が送還されようとしている、とも伝えた。
この件は、同地の住民より、アメリカの国外向け短波ラジオ放送局・自由アジア放送(RFA)に伝えられた。アメリカウイグル協会の副会長は、RFAに、「雲南省に加えて、北京、河南省、陜西省でも、すべてのウイグル族住民が、新疆に強制送還されようとしています。中国共産党当局が、ウイグル族の住民を、公式に送還したのは、これが初めてです」と語った。
世界ウイグル族会議の広報担当は、新唐人テレビにこう語っている。「1949年から今日に至るまで、共産党はウイグル族に対し、常に強圧的な政策をとり続けてきました。しかしながら、ウイグル族を弾圧すればするほど、それだけいっそう、ウイグル族は共産党の横暴に対抗するのです」