【社会】日本のピザは豪華すぎ? 消費者文化の違いに着目したドミノ成功の秘訣 NewSphere(ニュースフィア) 2014年3月11日
欧米では、ピザといえば、シンプルなものが定番だ。本場イタリアでは、トマトソースにモッツァレラチーズ、バジルを散らしたマルゲリータ、ピザ大国アメリカでもトマトソースにチーズ、ペパロニといったシンプルなものが好まれている。
しかし、そんなピザ好きの外国人にとって、日本はシンプルピザにありつくのが困難な国と思われているようだ。中でも、文化の違いが顕著に現れているのが宅配ピザだという。
ピザから垣間見える食文化の違い
「コーンとマヨネーズがトッピングされたピザを好むようになったら、日本に長く住みすぎだ」これは外国人の間でしばしば使われるジョークのひとつ。ドミノ・ピザやピザハットなど、アメリカでも日本でも事業展開をしている宅配ピザのメニューを比べてみるとその違いは歴然だ。
アメリカでは定番のシンプルなピザが6種類程度。一方、日本にはその6倍以上の種類が用意されている、とウェブ誌『ディプロマット』が比較している。日本のトッピングは、エビやホタテなどの魚介類の他、マヨネーズ、コーン、ポテト、照り焼きチキン、プルコギなど、アメリカでは想像もつかいないものが氾濫しているという。
1985年に日本に初めてドミノ・ピザのフランチャイズ事業を持ち込んだハワイ出身のアーネスト・比嘉氏は、シンプルなピザで成功していたアメリカ本社の人々に対して「日本人は目でも食事を楽しむため、トッピングの配色や配置、バランスなどが重要だ」と訴えたという。
同氏は、これが成功のカギだったと振り返る。“世界一消費者の要求が高い”日本でファーストフード事業を成功させるためには、豊富な種類と高い品質が必要だと語っている。
日本のお客様は神様
ドミノの他にも、木材や医療機器などで日本へ進出し成功をおさめてきた比嘉氏は、「アメリカではお客様は王様だが、日本では神様だ。より細やかなサービスが求められる」と、アメリカの文化交流団体「Japan Society」とのインタビューで説明している。木材にしても、アメリカでは家が崩れない強度があれば売れたが、日本では見た目の美しさまで要求されるという。
アメリカではファーストフード事業の鉄則は「確実に業務をこなすこと」だという。アルバイトを中心とする従業員らが、ミスなく素早く作業をこなしていくために、メニューは必然的にシンプルになる。ピザのトッピングは12種類程度、ドリンクも初めはコーラのみだったという。最近になってダイエットコーラが加わったことは大きな革命でさえあったようだ。
一方、日本では贅沢なサービスに慣れた消費者を逃がさないために、トッピングは30種類以上、ドリンクやサイドメニューも豊富だ。しかも季節限定メニューまで次々と登場させて消費者を飽きさせない。
日本で成功したければ、日本の文化に順応しなければならない。「グローバルに考えながら、ローカルに行動する」。これが、日本でフランチャイズを成功させるための基本だと比嘉氏は語っている。
古くからのことわざにあるように、「郷に入っては郷に従え」を実践することは現代でも重要ということだろう。