【政治】オバマ大統領のいらだちも背景? ケネディ大使、日韓に緊張関係の緩和求める NewSphere(ニュースフィア) 2014年3月10日
アメリカのキャロライン・ケネディ駐日大使は6日、NHKのインタビューに応じ、日本と韓国に対して「両国は緊張緩和に向けて主体的に行動するべきだ」などと和解を求めた。海外メディアもこの日のケネディ発言を取り上げ、最近の日韓関係を論じている。
日韓関係が前進すれば、オバマ大統領は“Very, Very Happy”だ
ケネディ大使がテレビのロングインタビューに応じたのは、昨年11月の就任以来初めて。この中で、緊張が続く日韓関係についての質問にも答えた。
大使は、日米韓の同盟関係について「三ヶ国は共に歩むことができる。いや、歩むのだ」と強調し、「皆がその良好な関係を望んでいる」と語った。そのうえで、「日韓両国は緊張緩和に向けて主体的に行動するべきだ。アメリカはそのためならば何でもお手伝いする」と注文をつけた。
4月にはオバマ大統領が日本と韓国を訪問する予定だ。ケネディ大使はこれをふまえ、日韓関係が前進すればオバマ大統領は非常に喜ぶと、“Very, Very Happy”というフレーズを使って強調した。
「歴史は複雑だ」と日米関係への影響は否定
また、当時、遺憾の意を表明した安倍首相の靖国参拝については「地域の空気を悪くするいかなる行動にも失望する」と、あらためてネガティブな見解を示した。
ただし、安倍首相個人に対しては「安定した強いリーダー。素晴らしいパートナーだ」などと賞賛。「アベノミクス」などの政策も高く評価した。
NHKの籾井勝人会長が「慰安婦として働く女性は世界中の戦地に存在した」という発言や、最近の日本政府のこの問題に対する態度については、「歴史は複雑だ」と述べるにとどまり、批判を避けた。
そして、「戦後50年にわたって良好に築き上げられてきた日米関係が、個別の見解の相違によって影響されることはない」と語り、韓国を怒らせるような日本側の動きや見解そのものによって日米関係が崩れることはないと強調した。
ケネディ発言はオバマ訪日・訪韓を前にした「地ならし」か
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、オバマ大統領の訪日・訪韓を前に、アメリカ政府が「裏で両国に関係改善を盛んに働きかけ続けている」と指摘する。今回のケネディ発言もその動きの一部ととらえることができる。
オバマ大統領は、中国の脅威に対して日韓と共同戦線を張ろうとしている中で、日韓が関係を悪化させていることに苛立っていると伝えられる。ブルームバーグは、4日に開かれた米上院の公聴会で、日本研究の専門家が「今、北東アジアでのアメリカの最大の障壁は、2012年以来最悪となっている日韓関係かもしれない」と発言したと報じている。
また、先月ソウルを訪問したケリー国務長官は、オバマ大統領が4月の日韓訪問で両国の仲裁をするかという質問に対し、「今我々がそれをすべきだ。大統領に仲裁役をさせるほどの大きな問題にならないことを願っている」と答えたという。ブルームバーグは、このやりとりを取り上げ、オバマ訪日を前にした今回のケネディ発言と関連付けた。
米国のニュース専門サイト『グローバルポスト』も、ケネディ発言を伝える記事の中で、米政府の東アジア外交のトップ、ラッセル国務次官補の4日の上院公聴会での発言を取り上げている。「アメリカと日本は、第二次大戦中の対立を乗り越え、今日まで良好な関係を築いてきた。日韓関係はこれを見習うべきだ」