【海外】中韓「安重根記念館は平和のため」 安倍首相の靖国参拝理由を意識と海外紙は指摘 NewSphere(ニュースフィア) 2014年1月22日
19日、初代韓国統監の伊藤博文を暗殺した安重根(アン・ジュングン)の記念館が、中国東北の黒竜江省ハルビン駅に開設した。
日本は遺憾の意を表明
これに対し日本政府は20日、菅義偉官房長長官が「日本は安重根について、日本の初代首相を殺害し死刑判決を受けたテロリストだと認識している」と発言した。このような動きは、悪化した日中関係を修復困難にすると警告し、日本は外交機関を通じて反対を訴えていくとも述べた。同氏は「過去の歴史に関する一方的な見解に基づいた中国と韓国の共同した動きは、(東アジアの)平和と安定を作り出す助けとはならない」「日本はこれまで、中国と韓国に対して自国の見解と憂慮を明確に伝えており、今回の件は実に遺憾だ」と述べた。
韓国は菅氏の発言後、安は「韓国の独立と、アジアの真の平和のために自身を犠牲にした英雄だ」「日本政府の彼に対する理不尽な発言は驚きに耐えない」と反論した。
記念館建設は平和のため?
中国・韓国は、安の記念館開設を祝うと同時に、同施設の目的は、外交的対立を挑発するためではなく、平和を促進しようとするものだと説明した、とAFPが報じている。黒竜江省の孫尭副首長は、記念館開設に際し、「人々は安重根義士が起こした事件の記憶をずっと心に抱いてきた」「現代に彼の記念碑を建てることで、世界中の平和を愛する人々に団結と、侵略に抵抗し、戦争に反対するよう団結することを求めるのだ」と話した。
このような発言は、安倍晋三首相が靖国参拝について「中国と韓国の感情を傷つけようとするつもりは全くない」「戦争による惨劇を二度と引き起こさないことを誓う」ためだったと発言したことを意識しているのだ、とAFPは報じている。
韓国外交部は20日、記念館開設を歓迎し、「記念館が北東アジアの国々に、正しい歴史認識に基づいた真の平和と協力への道を作ることを期待する」と述べた、と中国国営グローバル・タイムズ紙は報じている。
安は日本帝国によるアジア支配の象徴
ロイターによると、中国外務省の洪磊報道官は、安重根は中国でも広く敬愛されている人物で、中国国内に記念碑を建てることは全く妥当なことだ、と述べた。ロイターは、伊藤は戦時中の日本による中国と韓国占領の象徴的存在でもあったと紹介している。
安は死後、韓国独立に貢献したとして、1962年に韓国国民にとって最高の名誉とされる建国勲章を受賞。韓国の子供たちは学校で、低学年のうちから彼の英雄行為について教えられるという。安の人気は高く、映画、本、ミュージカルにもなっているようだ。
海外各紙は、日中韓の関係が、日本が帝国主義であった時代の軍事行為にいまだ影響を受けていると指摘している。