【海外】中国反日ドラマ、「ナルト」のアニソンを盗用か? 背景にある中国の皮肉な矛盾とは NewSphere(ニュースフィア) 2014年1月21日
中国で最近放映された「BLUE WOLF」という反日ドラマで、日本のアニメ「ナルト疾風伝」の挿入歌「マン・オブ・ザ・ワールド(Man of the World)」にそっくりな曲が使われていたとして、人々の関心を集めています。
盗用疑惑に、中国人視聴者からも苦情
中国では、反日ドラマに根強い人気があります。その多くは、戦時中を舞台に、侵略者である日本に対する中国人の英雄的活躍を主題とした、まるで時代劇のように型にはまったワンパターンなものが大半。ところが昨今、そんな反日ドラマの「ばかばかしさ」が目に余るとして、中国人視聴者からさえ苦情が上がっているようです。
そんな「ばかばかしさ」の最新例が、この挿入歌の盗作・盗用疑惑です。ドラマで使用された挿入歌とその元となったのではないかといわれる「マン・オブ・ザ・ワールド(Man of the World)」は、その違いを指摘するのが難しいほど似ていますが、製作者側は、問い合わせに対して沈黙を守っているとのことです。
盗作・盗用だとすればそれは由々しき問題ですが、それ以上に、その曲がこのドラマの主題である「反日」にあまりにそぐわない「日本」のアニメソングであるという点に、皮肉な矛盾を感じる人は少なくないでしょう。視聴者からは、「これだから、この手のドラマは見る価値なし」との厳しい発言も寄せられています。
視聴率のためなら、非現実的な表現も“日本アニメ風挿入歌”もあり
さらに、香港メディア「South China Morning Post」では、反日ドラマの「ばかばかしさ」として、「中国人ヒーローが日本兵を素手で半分に引き裂く」、「一人の中国人が一度に複数の矢を放って複数の日本兵を倒す」などの、非現実的な表現が例として挙げられています。
これらの反日ドラマの暴走を受け、中国テレビ界では、「より史実に忠実なドラマ作り」を指導しているとのことですが、現実問題として、公的な補助金が減りスポンサーからの広告料に頼らざるを得ないテレビ界は、「人気」や「視聴率」を優先する傾向にあるようです。そのため、非現実的な表現であっても、また「反日」内容に矛盾する挿入歌であっても、それが視聴率に結びつく可能性があれば、使用されるわけです。
反日ドラマに強く共感する民族意識を持ちつつも、アニメなどの日本文化がすっかり浸透している現実や、視聴率のためならば「ばかばかしさ」も取り入れるテレビ業界の姿勢から、中国に内在する皮肉な矛盾が透けて見えてきそうです。