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【一歩前に踏み出す自治体職員~ありたい姿の実現を目指して~】

第45回 縦割りではない横に繋がる「チーム」で「子育てしたくなるまち日本一」を目指す (2018/10/26 長野県塩尻市こども教育部家庭支援課 百瀬公章)

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「人材を変え、組織を変え、地域を変える」ことを目的に自治体職員のリーダーを育成する実践的な研究会「早稲田大学マニフェスト研究所 人材マネジメント部会」受講生による連載コラム。研修で学び得たもの、意識改革や組織変化の実例などを綴っていただきます。

人材マネジメント部会での気づき

 私は、2014年度の人材マネジメント部会に、塩尻市2期生として参加しました。個人的には、管理職に昇任した時期であり、管理職として組織で果たすべき役割などについて、考える契機になりました。初めて参加した部会では、「ダイアログ(対話)」「ドミナントロジック(打破すべき固定観念)」など聞きなれない言葉に、頭の中は「???」な感じだったことを今でも鮮明に覚えています。

 その中で、「組織長中心のチームが、対話を通じて現場を変える」という内容は、我が事として胸に落ち、“課長が組織のキーマン”であることを実感しました。

 このことを夏期合宿での施策に反映させ、管理職を対象にした「塩尻市版人材マネジメント部会」の開催を提案したものです。これは、管理職が組織で果たすべき役割を理解し、意識変革を促し、課がチームとして機能することを目指すものです。

塩尻市版人材マネジメント部会

塩尻市版人材マネジメント部会

 この「塩尻市版人材マネジメント部会」は、翌2015年度から出馬幹也・人材マネジメント部会長をお招きして実施することになりました。課長が顔を合わせ対話することは、日常の中ではほとんどない経験であったので、お互いの考えを知る機会にもなり、とても新鮮な場になりました。

 組織のキーマンである課長が、人材マネジメント部会での学びや経験を、日常業務の中で一歩踏み出し実践していくことが今後の課題であり、私自身、課長職の「マネ友(人材マネジメントプログラム部会の修了生)」として、何か目に見える形で実践していきたいと思っていました。この「塩尻市版人材マネジメント部会」は、課長補佐、係長職に対象を拡大するなど進化しながら現在も続いています。

子育てしたくなるまち日本一

 2014年9月には、「子育てしたくなるまち日本一を目指して」をマニフェストに掲げ、現市長が再選を果たしました。私が所属する家庭支援課は、0歳から18歳までの子どもとその保護者を対象とした、子育て、教育、児童福祉を担っていることから、何かをしなければいけないと感じていました。しかし、子どもに関連する事業は、いくつもの課にまたがっており、いわゆる「縦割り」のなかで、特に母子保健との連携には課題を感じていました。

 人材マネジメント部会で学んだ組織経営について、「業務の中で実践する時だ」と感じました。そこで、縦割りを打破し「子育て」をキーワードに庁内のネットワークとして、「子育て支援庁内ネットワーク会議」を2015年6月に立ち上げました。家庭支援課、こども課、健康づくり課、子育て支援センターに企画課を加えた庁内5課が横に繋がり、対話を重ねながら塩尻市に合った子育て施策を検討していきました。

塩尻市版人材マネジメント部会2

 子育て支援の充実のために先進地の視察を行い、どんな仕組みが必要なのか、課やそれぞれの立場を超えて真摯に対話を重ねていきました。その中で、目指すべき方向が共有でき、それぞれの果たすべき役割が明確になり、チームとして機能している実感が持てるようになりました。

 その結果、妊娠から出産、子育てを切れ目なく包括的に支援するフィンランドの「ネウボラ」的な仕組みを創り上げ、課題であった母子保健との連携についても、月1回の子育て支援連絡会を開催し、関係機関で情報共有する仕組みも併せて創りました。そして、2016年4月に「あんしんサポートルーム」を開設し、子育て支援施策の充実を図ることができ、このことはマスコミにも広く取り上げられました。

 「あんしんサポートルーム」の利用は、私たちの予想を大きく超え、子育て世代の安心に繋がる事業になり、内心ほっとしました。これには、地区担当保健師や子育て支援センターの保育士など現場のニーズをチームとして的確に判断した結果であり、2018年度には2カ所目を開設するまでになりました。

 子育て支援庁内ネットワーク会議では、新規事業の提案だけではなく、事業の見直し、役割分担の変更などにも切り込み、経費の削減など一定の成果を上げています。この子育て支援庁内ネットワーク会議は、現在では「子ども」キーワードに12課による「こどもの未来応援会議」として、ネットワークをさらに広げ、子どもの支援施策の充実を図っており、全庁的にも認知されるようになっています。

百瀬公章さん

長野県塩尻市こども教育部家庭支援課 百瀬公章さん(左から2番目)

おわりに

 このように、短期間に成果を出すことができたのは、チームとして機能した結果であると感じています。チームとは、「(1)目的を共有する、(2)役割を適切に分担する、(3)困ったときに助け合う、の3つが要件である」といわれていますが、チームが成立するためには、肚落ちする対話が欠かせないと実感しています。

 私は自らの役割として、予算編成や事業を実施する機会などを捉え、課内はもちろんのこと、他の部署の係長などと立ち話を含め意識的に対話をしてきました。また、庁内のネットワークとなる会議には、できる限り課長にも参加していただき、チームとして機能するために、係長などと一緒に対話を重ね、その効果を共有してきました。

 このような実践を積み重ねる中で最近、私が所属するこども教育部では、様々な人たちが対話している姿を目にします。課長が中心となり、目的に応じて部署を超えた人たちがチームとして繋がり機能していくことで、組織も変わり、市民のための施策が充実し、本市の経営理念にある市民からの「ありがとう」が増えるのではないかと感じています。

 今後も、仕事を進めるうえで常に「チーム」を意識し、縦割りではない横に繋がるチームで、「子育てしたくなるまち日本一」を目指し、子育て世代に選ばれる地域の創造を、一層スピードを上げて進めていきたいと思います。

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■早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会とは
安倍内閣が目玉政策として進める「地方創生」をキーワードに、「地方」「自治体」のあり方に改めて注目が集まっている。市民との協働や官民連携が重要になっている中で、特に職員の働きが大きな鍵となっている。これまで自治体では民間の手法を用いた「スキルアップ」は数々試行されてきたが、本来的に必要なのは意識改革であり、人や組織を巻き込むことのできる人材が求められている。早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会では「人材を変え、組織を変え、地域を変える」ことを目的に、立ち位置を変え、主体的に動き、思い込みを打破するリーダーを育成することを目指している。
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