【一歩前に踏み出す自治体職員~ありたい姿の実現を目指して~】
第15回 ダイアログは発見の連続! (2016/1/29 千葉県流山市 総務部総務課 主任主事 高松秀人)
「人材を変え、組織を変え、地域を変える」ことを目的にリーダー育成する、自治体職員のスキルアップ研究会「早稲田大学マニフェスト研究所 人材マネジメント部会」受講生による連載コラム。研修で学び得たもの、意識改革や組織変化の実例などを綴っていただきます。第15回は千葉県流山市 総務部総務課 主任主事の高松秀人さんによる「ダイアログは発見の連続!」をお届けします。
◇ ◇
私は、千葉県流山市のマネ友(修了生)4期生として2014年度にベーシックコースに参加しました。そして、2015年度には運営委員として参加させていただいています。
人事担当から声をかけられ、何気なく参加してみたところ、この部会は、自分の考え方を一変するようなものであり、今後、最も影響を受けたものの1つになるものでした。
部会は「研究」する場
部会の第1回研究会の初日、先輩マネ友からは「スーパー公務員が集まるところ」と聞いていたため、そのイメージで参加しました。午前中は、そのイメージのまま、率直に楽しいという感想を持ちましたが、その日の午後、第2回研究会、第3回研究会と進むにつれてそんなイメージはなくなっていきました。というか、スーパー公務員が集まっているのかもしれませんが、それよりも、「同じ課題を持っている同志が集まっている」という感じです。
この部会でやっていることは、自分たちが組織を動かすため、他の人に動いてもらうためにはどうしたらいいのかということの研究であり、自覚していたかどうかはわかりませんが、どうやって組織を動かし、組織をありたい姿にしていったらいいのか、ということをいつの間にか考えていました。
運営委員になった今では、はっきりと言えます。人材マネジメント部会は「自分のための『研修』ではなく、自分の所属する組織をいかにして『ありたい姿、あるべき姿』にするかを『研究』する場である」と。だからこそ、今は「難しい」と感じてもいます。
でも、「研究」を続けているからこそ、今まで思いつきもしなかったアイディアが思いつきます。部会は原則、3人の参加で、毎年仲間が増えていきます。1人で研究しているわけではないから、ダイアログ(対話)を通じて自分の考えが自分だけの勝手な思い込みだったことや、みんなも同じことを考えていたことに気付くこともあります。
研究の内容は、実践してみないと何の意味もありません。人に話を聞いてみたり、研修会を実施してその感想を探ってみたり…。
ダイアログそのものについても、最初は「ダイアログはツールだ」という意味がしっくりきませんでしたが、今では、「ダイアログは、自分の考え方を知ってもらうため、相手の考え方を知るため、お互いの考えを共有するためのツール」だと思っています。
「共有」をキーワードに組織を動かす
流山市では、それまで1期生から4期生までがバラバラでした。その期のみの「研究」で終わっていたのです。夏合宿以降、そのことに気付き、それではいけない、次の代につないでいかないと思いが途切れるような気がしました。
私たち4期の代では「共有」が3人のキーワードでした。3人がキーパーソンと考えた職員と対話した時の共通項が、「共有」だったことが理由です。特に、キーパーソンから、自分の所属する部署の思いを共有して組織を改善させたという体験談を聞けたことは、これから大きな組織を変えていこうとしている私たちにとって大きなヒントになりました。
また、「市民から見れば、市の職員はみんな市の職員。窓口や電話で対応した人が市の代表」という言葉をヒントに、職員誰もが市民を案内することができる、つまり、「他課の業務についても知っている=業務を共有している」状態を作り出すことが重要だと考えました。たまたま市の受付窓口をしている職員が作成していた市の業務インデックスを、組織を動かして、全庁に共有することができました。
「共有」というキーワードのこともあって、自分たちは、ダイアログによって1期生、2期生、3期生がやろうとしていたことを聞き、また、5期生にはこの部会での研究について思いの「引継ぎ」をしました。
その甲斐あってか、今年度参加している5期生が中心となって1期生から4期生までを巻き込んで、組織をよくするために5期生が考えた「ありたい姿へ向かうための施策」についてダイアログを行っています。さらに、その内容を充実させるために庁内で参加者を募り、月1回を目標にして各テーマに沿った有志でのダイアログを継続しています。
現在は、異動に関することをテーマにしたダイアログ「異動どうよ」開催。マネ友と、異動して1年目の職員の中から有志を募り、異動になった時どんなことを感じたのか、何があれば異動はもっとスムーズに行えるか、ということについて対話しています。
ダイアログは発見の連続!
有志からは、想定していた意見もあれば、意外な意見もあり、マネ友の新たな人柄も発見できます。ダイアログはまさに発見の連続でした。同じ部会を経験したマネ友の中でさえ、いろいろな発見があります。
ダイアログを続け、お互いの考えを共有した結果、何をすれば「目的」を達成できるのか、つまり、「ありたい姿に近づくにはどのような施策を打っていけばいいのか」「その施策を動かすべき組織はどこか」。考えることは山ほどありますが、今後も継続して「研究」していきます。
- ■早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会とは
- 安倍内閣が目玉政策として進める「地方創生」をキーワードに、「地方」「自治体」のあり方に改めて注目が集まっている。市民との協働や官民連携が重要になっている中で、特に職員の働きが大きな鍵となっている。これまで自治体では民間の手法を用いた「スキルアップ」は数々試行されてきたが、本来的に必要なのは意識改革であり、人や組織を巻き込むことのできる人材が求められている。早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会では「人材を変え、組織を変え、地域を変える」ことを目的に、立ち位置を変え、主体的に動き、思い込みを打破するリーダーを育成することを目指している。
- 関連記事
- 長かった道のり、そしてマネ友との出会い!後に続け後輩たち(2015/12/24)
- 行ってみたらホントはこんなとこだった~人マネが稀有で貴重な存在である理由(ワケ)~(2015/11/26)
- 「素直な笑顔があふれるまちづくり」住民の期待に応える組織となるために(2015/10/29)
- 「部会に卒業はない!」マネ友としての継続的な実践(2015/9/24)
- 変革に「自分ごと」で関わる覚悟(2015/9/2)