東京都知事選挙2016
過熱する都知事選報道、「公正とは言えない」との声も (2016/7/24 政治山)
舛添要一・前東京都知事の週末別荘通いを、週刊誌が報じたのは4月下旬です。それから連日、「政治とカネ」を含む都知事の問題が報じられました。6月15日、舛添氏が辞意を表明すると、今度は候補者擁立の話題がメディアを賑わせました。国政選挙である参院選(7月10日投票)よりも、地方選挙である都知事選(7月31日投票)の方が大きく報じられ、世間の話題も参院選を飛び越えて都知事選に集中してしまいました。
21人の候補が乱立した今回の都知事選で、当選ラインは何票になるのでしょうか。また、投票率は参院選を上回るのでしょうか。
当選ラインは200万票前後か
2000年代に入ってからの直近5回の都知事選の当選者得票数の平均は299万3142票で、ほぼ300万票に達しています。これは2012年12月の猪瀬直樹氏の得票数433万8936票が平均を大きく引き上げているのと、4選を果たすまでの石原慎太郎氏の安定した人気ぶりによるところが大きいと考えられます。
今回は大本命と言える突出した候補がいないことから、大方のマスコミの予想では前回の舛添要一氏が得票した211万票に近いか、それよりも低い得票数になるのではないかと言われています。
直近5回の平均投票率は53.16%
また、直近5回の投票率の平均は53.16%。前回は46.14%と過去3番目に低い投票率でした。今回は18歳選挙権になって初めての都知事選で、若者の動向も気になるところです。
一般に若年層ほど投票率は低くなりますが、参院選では、総務省の速報値で18歳の投票率(選挙区)が51.17%と全体の投票率(54.70%)と大きな差がなかった一方、19歳は39.66%と低い結果に終わりました。高校での「主権者教育」が奏功する一方で、卒業生らの政治参加意識は低かったとみられます。
31日投票に向けて選挙戦は白熱?
4~5月と舛添氏の問題が、6~7月と候補者擁立の問題が連日報道されたことで、誰もが騒動の結末に注目しています。それだけでなく、2020年開催の東京五輪の競技場問題や2億円送金問題なども尾を引いており、8月5日開幕のリオ五輪が近づくタイミングで、選挙終盤戦のボルテージは上がっていくと思われます。
3候補への過熱報道に有権者の苦言も
すでに有力3候補の報道は過熱気味ですが、他の18候補の動向が全く伝わらないという不満の声も聞こえてきます。有権者の会社員女性(43)は「選択肢が21あるのに、マスコミが3択に限定している。先頭集団に集中するのは分かるけど、情報量が偏り過ぎていて、公正な選挙とは言えない」と、報道のあり方に疑問を呈しています。
- <著者> 上村 吉弘(うえむら よしひろ)
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー 編集・ライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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