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投票に行ったら割引が受けられる!?「センキョ割」って何? (2014/4/17 政治山)

関連ワード : センキョ割 伊藤和徳 横浜市 神奈川 

 2015年統一地方選挙まで1年を切りました。統一地方選挙は国政選挙より関心が薄く投票率が低い選挙です。私たちの生活に密接した地方議会に関わる選挙なのですが、地方政治はメディアでも報じられることが少なく、活動があまり認知されておりません。

 そこで、横浜市を中心とした神奈川県内で、若者の投票率アップを狙った「センキョ割」というイベントを仕掛けた株式会社ワカゾウの伊藤和徳さんに、イベントのノウハウや効果についてお話を伺います。

senkyowari

「投票の質が下がる」事を気にする前に行動させること

――センキョ割について教えてください。

「センキョ割とは投票に行った証拠を協力店舗に提示すればお得なサービスを受けられるという株式会社ワカゾウが社会貢献で行った企画です(詳しくはセンキョ割サイトにて)。2012年衆議院選挙から始め、2013年参議院選挙でも行い、横浜市を中心に神奈川県内の商店街など含め134店舗の協力を得て行いました。その後も各種選挙で行っております」

――どのように協力店舗を集めましたか。

「センキョ割に必須な要素は、サービスに協力してくれる店舗です。協力店舗数によってキャンペーンの規模感が決まります。どのように参加協力店を集めるかというと、『各店舗の社会貢献』のお手伝いをするという提案が最も協力してくれる勧誘方法になります。店舗は地域に根付いて商売をされているので、各店主さんは常に地域のことを考えているのですが、忙しくて中々社会貢献に参加できないという実情があるからです」

――若者を対象にしていますが年齢制限はありますか。

「センキョ割は政治に対して興味関心が薄い若者に、政治や選挙に参加するきっかけを与えるための企画です。私たちが最初に主催した時は20歳~30歳で設定しましたが、2度目は飲食店などの意見も取り入れ、20歳~35歳にしました」

――店舗や地域の人たちからイベントへの反対意見はありましたか。

「もちろん、センキョ割には批判もあり、『投票行ってサービスを受けるなんて投票の質が下がる』などの意見もいただきます。しかし、投票の質を確保する以前に投票行動に興味を持ってもらうことが重要だと考えています」

日常会話で選挙が話題になる

――イベントのPRで工夫したことはありますか。

「センキョ割では政治選挙に興味を持っていない方々に興味を持ってもらうため、既存の政治広報とは性質を変えて、未成年にキャンペーンを手伝ってもらいます。年輩の方々が『投票は義務だから選挙に行きなさい!』と伝えるよりも、未成年から『先輩、私たちのためにも投票に行ってください』と伝えるほうが聞く耳を持ってもらえる上に、未成年にも早い段階で政治や選挙に関わる機会を創ることができます」

――実際に投票率に影響はありましたか。

「結論から言うと投票率は上がりました。2013年参議院議員選挙においてセンキョ割を行った横浜市では、国政選挙において2001年以来12年ぶりに投票率が全国平均を上回りました。他の政令市や特別区と比べても横浜市の投票率は高く、神奈川県と横浜市の双方ともに全国平均を上回ったのは平成に入って初めてのことでした。もちろん、こうした効果を出すにはある一定規模の参加店舗が必要です。各店舗の呼びかけにより投票参加が促されるからです」

――投票率アップ以外に何か効果はありましたか

「センキョ割を行うと、今まで話題が起こらなかった場所で選挙の話題が起こります。キャンペーン最中やキャンペーン後に多くのフィードバックをいただく中に、『子どもを誘うきっかけになるわ』や『家庭で政治の話はしづらかったけれど、センキョ割をきっかけに食卓の話題になった』という言葉をセンキョ割利用者から伝えていただきました。参加店舗からも『お店で政治の話は出しづらい雰囲気で今までなかったけどセンキョ割をきっかけに政治の話で盛り上がったよ』と聞きました」

「最後に、『センキョ割』は投票に行ってサービスを受けるという遊び心で政治の雰囲気をかえていこうというキャンペーンですが、センキョ割をきっかけに『選挙がなぜ行われているか?』『投票するとはどういうことか』に対してもコミュニケーションを取るきっかけになっていくことを願います」

伊藤和徳氏【取材協力】
株式会社ワカゾウ コミュニケーションプランナー 伊藤和徳

1984年3月生まれ30歳。学習院大学政治学科卒業。大学卒業後、衆議院議員秘書を経て、2010年7月に株式会社ワカゾウを仲間と設立。
現職: 株式会社ワカゾウ コミュニケーションプランナー
受賞歴など: 2013年PRアワードグランプリ ソーシャルコミュニケーション部門 最優秀賞受賞、第6回マニフェスト大賞 コミュニケーション部門 最優秀賞受賞
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