2020年に向け、東京お台場に「日本財団パラアリーナ」が完成 (2018/6/26 日本財団)
東京お台場に専用体育館
2020年に向け練習環境を整備
約2年後に控えた2020年東京パラリンピックに向け、練習環境の整備を目的にしたパラスポーツ専用体育館「日本財団パラアリーナ」が東京お台場に完成し6月1日、オープニングセレモニーが開かれた。日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)が、船の科学館敷地内(東京都品川区東八潮3-1)に昨年末から建設を進めていた。
完成したパラアリーナは地上1階、鉄骨造り。建築面積3187平方メートル、延べ床面積2989平方メートル。メインフロアは2035平方メートル。天井の高さは6.85メートルから8.05メートル。ユニバーサルデザインを全面的に取り入れ、競技用の車いすでも通行しやすいスライド扉を採用。更衣室やシャワールーム、トイレもパラアスリートの使いやすさを追求した。
選手の練習環境に配慮し、メインフロアには、ボッチャ、車いすバスケットボール、ウィルチェアーラグビー、ゴールボールといったパラリンピック競技のラインコートを常設的に引き、トレーニングルームにも充実した設備を配置した。ミーティングルーム、ロッカールーム、医務室、器具庫、事務所、駐車場も設置。エントランスには選手の意欲を高めようと、香取慎吾さんが「i enjoy !」をテーマに描いたパラサポオフィスの壁画(縦2.6メートル、横6.1メートル)を、レゴブロックで再現した「レゴ壁画」を展示した。
日常的な練習やパラスポーツの普及啓発ため、東京パラリンピック正式競技の競技団体や競技団体所属のクラブチーム・個人、パラサポが認めるパラスポーツの普及啓発に関する団体を対象に、体育館施設・設備を貸し出す。事前登録・予約をした上で、無料で使用することができる。開館時間は9時~21時半(利用時間9時半~21時)。休館日は不定休。常設施設ではなく22年3月までの限定施設。
パラサポの山脇康・会長はあいさつで「選手の皆さんは、きょうからこのパラアリーナを思う存分、好きなだけ使い、20年に向けトレーニングをしっかり進めてほしい。同時にこのアリーナが、パラスポーツの普及振興、パラリンピックムーブメントの発信基地となるよう私どもも全力で取り組んでいきたい」と強い期待と意欲を示した。
日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会の鳥原光憲・会長は、パラリンピックでの選手の活躍に期待が高まっている中で「どの競技団体も場所的、時間的、また設備の面でも、利用しやすい体育館の確保というのが最大の問題だった」と紹介し「選手村から指をさして“あそこだ”と言えるような近い場所に、パラスポーツ専用体育館がつくられたことは画期的。こんなありがたいことはない」と語った。
日本パラパワーリフティング連盟の吉田進・理事長も「感謝の気持ちでいっぱいだ。連盟と選手、めいっぱい頑張っていきたい」と強調し、ウィルチェアーラグビーの島川慎一・選手も「思う存分使わせていただき、東京パラリンピックでのメダル獲得に向けて進んでいきたい。全てのパラスポーツの普及と発展の場になることを願っている」と話した。
日本財団の笹川陽平・会長は「素晴らしい施設ができ、私たちもその一助になったことを心から喜んでいる」と祝福し、アスリートの練習場所と同時に、全国の子どもたちに対するパラスポーツの啓蒙活動に大きな力を発揮することに期待を示した。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗・会長は「つくるだけではいけないので、これをどう生かしていくかだ。できた以上は壊れるぐらい使ってほしい。パラスポーツ選手の豊かな人生が花開くような施設になれば」と期待を寄せた。
東京都の小池百合子・知事は「メダルを目指して力を養い、日本国内だけでなく、世界の人々に勇気を与えてほしい」と呼び掛け、パラリンピック大会の成功をもって東京大会の成功とさせていただきたい、と協力を要請した。
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