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就労支援フォーラムNIPPON2017―障害者就労の促進に向け熱い議論 (2017/12/20 日本財団)

「試行錯誤」テーマに全国から1500人
就労支援フォーラムNIPPON2017

今年で4回目となる「就労支援フォーラムNIPPON」が12月9、10の両日、全国の福祉事業所や企業、自治体、研究機関などの関係者1500人が参加して東京・新宿で開催された。障害者雇用が今ひとつ伸び悩み、岡山県倉敷市などで「障害者継続支援A型」と呼ばれる事業所の閉鎖が相次ぎ障害者が働き場を失う事態も起きる中、フォーラムでは来年に予定される障害福祉サービスの報酬改定など幅広いテーマについて熱い議論が行われた。

1500人の参加者がメーン会場を埋めた

1500人の参加者がメーン会場を埋めた

就労支援フォーラムNIPPONは日本財団が全国各地で進める「就労モデルの構築」と並ぶ「はたらくNIPPON!計画」の柱の一つ。日本精神科看護協会など3団体でつくる実行委員会が共催した。障害者の“はたらく”について考え、議論する国内最大規模のフォーラムで、8月の参加受付で早々に定員(1500人)を上回る申し込みが寄せられ関心の高さを示した。

今回のテーマは「試行錯誤」。「それぞれの試行錯誤、どこまでもやめない試行錯誤~そして生まれる新たな支援~」の標語の下、2つのシンポジウム、15の分科会のほか、初参加の国会議員を交えた討論会、全国60の就労支援事業所などから寄せられた活動報告パネルによるポスターセッションなども用意された。

冒頭で挨拶する笹川会長

冒頭で挨拶する笹川会長

冒頭、笹川陽平日本財団会長が挨拶に立ち「これまで2000件を超す障害者の就労支援事業に取り組んできたが、成功例はほとんどなかった」とするとともに「近年は3倍以上の工賃を目指す取り組みも増え、この勢いを全国に広げ、垣根のないインクルーシブな社会を目指したい」と意気込みを語った。

障害者就労をめぐっては、一般就労への移行を目指すA型事業所の閉鎖・大量解雇問題や1ヶ月の“賃金”が月1万5000円程度に留まるB型事業所の低工賃問題など課題が山積する中、厚生労働省は来春、事業所の福祉サービスに対する報酬の見直し、企業に対する法定雇用率の改定を行う方針を打ち出している。

これを受け、パネルディスカッションのひとつ「報酬改定はどうなる?」では、厚労省社会・援護局の内山博之・障害保健福祉部障害福祉課長が、障害者が能力を発揮し、自立した生活を実現できるよう一般就労への定着実績や工賃実績などに応じた報酬体系に移行する方針を説明、他のパネリストからは「B型事業所は重度の障害者を受け入れており工賃は低くならざるを得ない」「目標を達成すれば報酬が加算されるということになれば最初から低い工賃を設定する事業所が増えるのでは」といった疑問も出された。

パネルディスカッションも開催

パネルディスカッションも開催

また「時代に求められる就労継続支援A型の役割」の分科会では、A型事業所の閉鎖が相次ぐ事態、特に40%のA型事業所の設置主体が営利法人となっている現実に対し、「障害者の就労の場を広げる上でも企業の参加は必要」とする一方で、「利益中心で障害者支援の質も低い」といった批判的な意見も聞かれた。

60枚のパネルを並べたポスターセッションも

60枚のパネルを並べたポスターセッションも

事務局によると、どの分科会も立ち見まで出る盛況で、昨年と同様、エンディングで総括を行った公益財団法人・全国シルバー人材センター事業協会の村木太郎専務理事は、ともすれば“閉ざされた”イメージが強い障害者を取り巻く環境を変えるためにも今後は(1)試行錯誤を重ねた上での変化と成長(2)地域の企業や社会とのつながり強化が一層必要になる、と指摘した。

NHKの福祉番組「バリバラ」の公開収録も行われた

NHKの福祉番組「バリバラ」の公開収録も行われた

また初日の9日には、会場を舞台にNHKの福祉番組「バリバラ~バリアフリー・バラエティー」の公開収録も行われ、年明け1月14日夜、Eテレで放送される予定だ。

●はたらくNIPPON!計画(日本財団公式ウェブサイト)
●はたらくNIPPON!計画 ウェブサイト
●就労支援フォーラムNIPPON2017 ウェブサイト

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