[北海道名寄市]2010年施行の名寄市自治基本条例を「生きた」条例に (2019/6/21 マイ広報紙)
この記事は「広報なよろ 2019年6月号『市民が主体のまちづくり~名寄市自治基本条例~連載No.3』」を紹介し、コメントしたものです。
その数や内容には差がありますが、全国の地方議会で様々な条例が制定されています。既にある条例を廃するよりも、新たに作る方が多いので、制定済の条例が刻々と増えているというのが現状です。
その都度、必要に応じて条例が制定されるわけで、制定するまでは議会でもきちんと議論されたりするのですが、いざ制定されてしまうと、次から次へと新たな条例が作られることもあってか、既存の条例に対する関心が失われがちです。少し前に制定された条例であれば、それに基づいて施策も展開されていたりして、条例そのものへの関心も薄れがちであると言えると思います。
そういうなかで、今回ピックアップしたいのが北海道名寄市の広報誌における連載記事です。
この連載記事では、名寄市の自治基本条例についての解説が行われています。同条例の各条を取り上げて、それぞれ解説がなされているのです。
名寄市自治基本条例は2010年4月1日施行です。既に制定と施行から時間が経過している条例ということになります。
2001年に同じ北海道のニセコ町で制定された「ニセコ町まちづくり基本条例」が日本で最初の自治基本条例であるとされていますが、このニセコ町における制定以降、全国各地の自治体で同様の条例が策定されていきました。
その名称からも察しがつくと思いますが、この条例は自治の基本について定めるもので、制定したらそれで終わりということではなく、常に「まちの基本理念」として、その内容について市民の理解を醸成し、行政の運営や議会の運営にあたっても参照される必要があります。実際には、全国的な制定の動きに乗って制定したけれども、それ以降はそのままというところがないわけではありません。対して、名寄市は自治基本条例の理念に忠実に、常にまちづくりの基本となる条例にしようとする姿勢がうかがえるのがこの連載記事です。2019年に至っても、2010年に施行された条例について広報誌上で解説記事を連載することで、その条例を「生きたもの」とする取り組みがなされているのです。
条例を制定するだけに終わらせない。名寄市の広報誌の連載記事にはそんな強い意志を感じることができます。
- [筆者]東京工業大学環境・社会理工学院研究員/本田正美
- [参考]広報なよろ 2019年6月号
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