[川崎市]みんなの笑顔が見たいから (2015/10/8 野口将輝)
この記事は「かわさき市政だより No.1121 2015年(平成27年)9月21日号(全市版)『みんなの笑顔が見たいから』」を紹介し、コメントしたものです。
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地域の豊かな絆は、その地域の一つの財産でしょう。しかし、それは一朝一夕で作り上げることができるものではなく、地域の人が長い期間をかけて養っていくものでしょう。一方、自治体の施策としても、コミュニティセンターや自治公民館を整えることで、そこでの余暇活動が、ひいては地域のものごとを話し合う場として変えていくことも可能と考えられています。
今回のかわさき市政だよりでは、地域のお祭りが養う地域の絆について特集しています。たしかに地域の役員を担うことは、働き盛りの男性には難しいものかもしれません。しかしその分、定年後の活躍に対する期待は大きく、仕事で培った経験が求められることもあるでしょう、逆に、全く別の経験も得られるかもしれません。現役時代の上司、同僚、部下、取引先との関係が薄れる分、新たに地域で養われる人間関係は、仕事とは別の充足感をもたらすものと想像できます。
地域の広報誌にこのような体験談を掲載することで、お祭りへの参加などをきっかけとした住民参加が促進されるかもしれません。それはコミュニティセンターなどの建物を整備する施策とはまた異なる形で、地域の絆を作り上げる自治体の施策となり得るでしょう。基本的には広報誌は、広く地域の住民全員を対象に内容が考えられていますが、時には「会社を定年したあなたに告ぐ、地域はあなたの力を求めている」などと、ターゲットを絞った住民への広報も効果的なのではないかと思わせてくれる記事でした。
- [筆者]日本学術振興会 特別研究員、北海道大学大学院 国際広報メディア・観光学院 博士後期課程 野口将輝
- [参考]かわさき市政だより No.1121 2015年(平成27年)9月21日号(全市版)