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2019年は採用マッチング精度が上昇の予兆。その理由は? (2018/12/18 瓦版

関連ワード : 労働・雇用 

2019年のトレンド予測

リクルートホールディングス(HD)はさきごろ、キャリアや住まいなど8つの領域の2019年のトレンド予測を発表した。人口減少を背景に、あらゆる領域で消費側への主導権シフトが顕著になる中、2019年は個人がより自分らしくいることを実現しやすくなる潮流が一層強くなりそうだ。

2019年のトレンド予測

新卒採用領域では地域の中小企業と行政などが連係し、街ぐるみで地域に根差す若者の定着を支援する傾向が強まると予測する。その根拠として、リクルートキャリア就職みらい研究所所長の増本全氏は次のように解説する。

「大学生の地元就職意向は、三大首都圏はもちろんですが、地方圏でも58.8%と働きたくないを上回っている。一方で求める仕事がない、幅がないなどが不安となり二の足を踏んでいる。だが、地元企業の事を知っているほど戻りたい傾向が強まるというデータも出ている」。こうした状況を踏まえ、人材不足が深刻な地方は、官民一体となり人材流出阻止に注力。ヨコの連携を強めるなど、利害関係を超えて地域活性の名目で団結し、新入社員の孤立防止など定着への側面支援を強化している。

中途採用領域のトレンドを解説する藤井氏

中途採用領域のトレンドを解説する藤井氏

中途採用領域も同様に人材定着施策にこれまで以上に力を入れるトレンドが強まると予測する。リクナビNEXT編集長の藤井薫氏は「深刻な人材不足を背景に従来の採用手法の限界が見え始めている。そうした中で人事が孤軍奮闘でなく、配属先の長や同僚が採用活動を主導し、ありのままをさらし入社後のリアルをすりあわせる兆しが見え始めています」と解説する。

目的は、ミスマッチの防止だ。事前に全てをさらけ出し、入社後にアンマッチを感じ、能力を発揮できないということを減らし、定着と戦力化を実現。激化する人材獲得競争におけるロスを最小化し、採用した人材を最大化することで、人材獲得効率を可能な限り高めるのが狙いだ。データでも2017年から2018年の1年で社会人インターンシップの開催企業数が2.7倍に増加(リクルートキャリア調べ)しており、2019年のさらなる「職場スカウト採用」の増大は必至の状況となっている。

ワークもライフも自分らしさ実現に追い風

上記2つは求職側に立てば、自身がどう働きたいかを実現する上で強烈な追い風となるトレンドといえる。地元で働きたいなら、しっかりと企業研究するだけでなく、自治体の動きなどもチェック。そうすることで不安をクリアにし、居心地のいい地元での就職への道も開けてくるだろう。転職においては、企業側が情報をさらけだしてくれることは、ミスマッチ最小化へこれ以上ない情報開示であり、転職市場における人材流動化を一層加速させることにもなりそうだ。

キャリア面での充実に呼応するようにライフの側面でもより自分らしさを実現しやすくなる傾向が強まりそうだ。住まい領域のトレンド予測は、都心と田舎の2つの生活を楽しむ「デュアラー」の増加。2拠点生活といえば、かつてなら富裕層がリタイア後に自宅と別荘を行き来するイメージだったが、 “現代版”は、20~30代のビジネスパーソンやファミリーがパラレルで実践するスタイルになるという。

住まい領域の2019年のトレンド予測を発表する池本氏

住まい領域の2019年のトレンド予測を発表する池本氏

「かつては富裕層やリタイア組が楽しむイメージのデュアルライフだったが、昨今は安価で手軽に始められるサービスが登場している他、企業サイドもサービス提供に乗り出し、今後さらに2拠点生活を楽しむ動きは広がっていくだろう」。こう予測するのは、SUUMO編集長の池本洋一氏だ。

背景には、シェア文化の浸透や地方物件の価格下落、空き家物件増加などによる物件購入の敷居低下。さらには民泊の合法化で、所有物件による副収入を得やすくなったことなどがある。広さやゆとりを犠牲にし、都心に駅近マンションを所有しながら、その不足を補うように郊外に別拠点を構え、トータルでライフを充実させる。人生100年時代を踏まえても、より自分らしさを実現する上で、至って自然な流れといえるかもしれない。

平成が終わる2019年は、東京五輪前年にあたり上昇ムードが高まりそうだが、中長期でみれば決して浮かれてもいられない。産業構造の変化と人口減少で変質する日本社会。大きな過渡期にある中で、来年は自身がどう生きたいのか。それを整理し、その土台構築するには適した1年。そう考えるのがスマートといえそうだ。

提供:瓦版

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