看板1つで「ポイ捨て」を減らすロンドンの粋なプロジェクトが世界に広がる! (2017/11/1 SOCIAL DESIGN NEWS)
街のポイ捨てをどうやったら減らせるだろうか?この問題にユニークに取り組んだ環境団体がHubbubです。
彼らはタバコの吸殻を投票用紙に見立て、街中に投票箱のようなデザインの吸殻入れを設置しました。
そして箱にはこんな質問が。
「世界で一番のサッカー選手はロナウド?それともメッシ?」
議論になりそうな質問と一緒に吸い殻を投票できるようになってるのです。今回はHubbubのAlex Robinson氏のインタビューも交え、紹介します。
投票型ポイ捨ての提案
Ballot Binと呼ばれるこの灰皿、仕組みは至ってシンプルです。2つの入り口が用意されており、あとは質問に対して投票するように吸い殻を入れるだけ。ここだけの話ですが、投票したくなるように最初吸い殻の量を調整したこともあったんだとか。
質問の文字はマグネット式なので簡単に変更することができます。ちなみに投票灰皿は販売もしており、お値段は220ポンド(約3万3000円)です。
思わず行動させるデザインの秘密
彼らのオフィスがあるサマセット・ハウスまで足を運び。同団体のAlex氏にお話を伺うことに。
――まず初めにお聞きしたいのですが、どうやって思いついたのですか?
Alex氏:はい、まずNeat Streetsというプロジェクトで路上に落ちているたくさんの吸い殻を減らすことがテーマとしてありました。すでに路上に灰皿はたくさんあって、標識もあるのですが、まあ現状はお分かりの通り決して良くない状況でした(笑)
そこで私達がしたことは、観察です。どうやって吸い殻が地面に落ちてしまうのか人の行動を観察しました。そこで見たのは若いグループが夜にパブの外で捨てていたんですね、おしゃべりしてポイッと捨てる感じです。
――なるほど、観察から始めたんですね。
Alex氏:そうです、何が起こっているのか、どんな行動が問題を起こしているのか。そこで考えたのが「ポイ捨ての問題を解決しよう」とする代わりに、 若い人たちが「パブの外で話していること」に関わろうとしました。例えばスポーツの話題、特にイギリスだとサッカーですね。それでさっそく試作品をサマセット・ハウスの中にある企業に頼んでみました。
灰皿にはこんな質問を書いてね。「世界で一番のサッカー選手はロナウド?それともメッシ?」それがBBCや世界的なWEBメディアに取り上げられたことで、この取り組みの可能性を感じました。
行動と機能を両立させるコト
――なるほど、スタートするまで苦労したことはありますか?
Alex氏:いくつか問題はあって、火災と匂いとどうやって簡単に吸い殻を回収するかですね。 デザインを通して「人の行動」を変えるという課題もありましたが、同時にプロダクトとして機能させることが難しいのです。今でも初期の試作品よりはマシですが、まだ完璧ではないと思っています。
――市民の方の反応はいかがでしたか?
Alex氏:良かったですね。このキャンペーン全体で約26%の吸い殻を減らすことができましたし、他のプロジェクトでもBallot Binを使ったのですがキングス・カレッジ・ロンドンの独立調査では、46%の削減効果があると証明されました。広くメールやTwitter、Instagramなどに投稿もされていて、大衆に楽しんでもらっていると思います。普通、灰皿なんて写真撮らないですからね(笑)
――サイトを見ると次のステップとしてビジネス展開を考えているとのことでしたが、どんなビジネスを構想されていますか?
Alex氏:Ballot Binに関しては、現在は業者向けにイギリスを中心として世界中に販売しています。すでに21カ国でパートナーシップを結んでいて、もっと広げていきたいと思っています。
Asking MPs to vote with their butts. #ballotbin tackling #litter in parliament. What question would you ask? pic.twitter.com/EhbljKBqiz
— Hubbub (@hubbubUK) 2017年10月10日
アメリカやオーストラリアは大きなマーケットと考えていて、ただ輸送費などがあるので現地のパートナーを探しているところです。日本はリーチするのが難しいので、もしパートナーになってくれる方がいれば喜んで!団体としてはチャリティー部門、多くは環境問題に関するキャンペーンを自分たちで展開したり、自治体や大企業と組んでやっています。
ビジネス部門としてはもうすぐローンチするのですが、プラスチック製品を釣るボートを開発しています。企業団体と一緒に行く予定で、多分世界初かと思いますね。できた資金で学校の生徒たちを「釣り」に連れていき、プラスチックによる水質汚染の啓発をするつもりです。
◇
直面している問題に真っ向から立ち向かうのではなく、ユニークな解決策で環境問題に取り組む彼ら。灰皿はこちらから実際に購入することができます。また、日本のパートナーも募集しているとのことでしたので、気になる方は、是非連絡を取ってみてください。
- ライター&キュレーター
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小檜山 諒 フリーランスライター&キュレーター
世界中の面白いアイディアを集めたブログを運営中。「問いが変われば、答えも変わる」を信じて、アイディア発想など研究しています。ハッとさせられるようなアイディアが大好物。アイディアデザインコンサルタント。モットーは「LESS IS MORE」
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