隠れブラック企業は絶対に掲載したくない職場情報サイトを厚労省が開設 (2018/2/23 瓦版)
職場情報を丸裸にする総合サイト
働き方改革が叫ばれて久しい中、ブラック企業排除の動きが加速しそうだ。厚労省はさきごろ、「職場情報総合サイト」の設立を発表。その名の通り、職場情報を丸裸にすることで、求職者とのミスマッチを撲滅。適正な企業選択をバックアップする。公開は、2018年9月末を予定している。
公的な職場情報は、若者雇用促進総合サイトや女性の活躍推進企業データベースなど、WEBベースで公開されているものがいくつかある。だが、横断的な検索手段がなく、幅広く情報収集するには有効な手段がなかった。女性活躍推進法に基づく、情報公表制度の見直し等、法令による情報公開の義務化や、認定・表彰制度を活用した働き方改革の事例も蓄積されつつあり、断片的には情報が散らばっている。
同サイトは、そうしたバラバラの情報を集約し、横断的に職場情報を検索・参照できるサイトとして開設される。「求職者が就職前に職場の実態を知ることができるため、就職後のミスマッチを可能な限り防止することができる」とするだけに、その掲載情報はかなり濃密だ。
企業名や事業概要などの基本上はもちろん、新卒者等の採用・定着状況(男女別)、新卒者等以外の採用・定着状況、再雇用または中途採用の実績、女性労働者の割合、採用における男女別の競争倍率、職場見学・職場体験の受入、正社員の平均継続勤務年数、月平均所定外労働時間、平均の法定時間外労働60時間以上の労働者数、有休取得率、育休取得率、出産女性の継続在籍割合、研修制度、メンター制度、両立支援の取り組みなど、多岐に渡る。
隠れブラック企業が掲載すれば炎上リスクも
政府が働き方改革を推進して以降の取り組みの通信簿のような項目が並び、何もしていなければ即ブラック企業のレッテルを張られてもおかしくないような細かさだ。虚偽の報告をすれば、当然、すぐに発覚し、火に油を注ぐことになるだろう。例え偽りはなくとも、公表データと入社後の違いが大きければ、ネット上で晒されるリスクも出てくるハズだ。
一方で、働きやすいと胸を張れる職場なら、企業は同サイトに積極的に情報公開することで、優秀な人材を確保しやすくなるだろう。残業などの職場のネガティブ情報の隠蔽や職場を誇大によくみせることは、求職者と雇用側の関係性から、圧倒的に企業に優位性がある。その結果、入社後に不当な長時間労働を強いられ、心身を患う若者も後を絶たない。同サイトは、そうした悲劇をなくす一歩踏み込んだ職場情報検索ツールとして、大きく期待できそうだ。
もっとも、他の情報サイトのように、情報が充実していても認知されなければ意味がない。掲載には条件があり、さらに任意だが、どれだけの企業が、包み隠さずサイト上に情報公開し、多くの求職者に活用されるかがその生命線となる。その上で掲載企業が目論見通り、優秀人材の支持を集め、人材確保のメリットを享受できる事例が広がれば、自ずと情報掲載企業も増え、適正な企業探しサイトとしてその価値が高まり、存在が認知されることになるだろう。
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