非正規充実、正社員低調のワークライフバランス調査が示す理想の働き方 (2018/1/23 瓦版)
ワークバランスの充実ぶりは圧倒的に非正規>正社員
エン・ジャパン(株)が「エン派遣」上で、サイト利用者を対象に行った「ワークライフバランス」についてのアンケート調査を実施。その結果を発表した。全体に非正規>正規の傾向で、ワークライフバランスに関しては、非正社員に分がある結果となった。
現在のワークライフバランスついて聞いた質問では、「良い」が最も多かったのが契約社員(24%)、次いで派遣社員(22%)、アルバイト(18%)、フリーランス(14%)となり、正社員は11%でワーストだった。派遣や契約社員の半分以下の割合で、ワークライフバランスにおいては、正社員が明らかに劣ることを示す結果となった。
仕事と生活の調和・調整を意味するワークライフバランスは、仕事と生活のバランスがうまく調和し、互いに相乗効果によって一層の充実をもたらすといった意味がある。その観点からこの結果をみると、時間通りに仕事が終わることが基本の非正規社員のワークライフバランスへの満足度が高く、残業もある正社員の満足度が低い傾向にあるのは、単に残業の有無がその境界線となっている印象だ。
それを裏付けるように現在の勤務時間に関する質問では「長い」と感じる人が一番多かったのは正社員(61%)だった。次いで個人事業主のフリーランス(48%)となった。一方で派遣・契約社員、アルバイトはそれぞれ30%、40%、20%となり、いづれも「ちょうど良い」が「長い」と答えた割合を上回る結果となった。
非正規のワークライフバランス充実は額面通りに受け取っていいのか
ここまでみれば、働き方で満足度を高めるには非正規がいいかもしれないという仮説が成り立つことになる。そこで問題となるのが、ワークライフバランスに満足している非正規社員が、仕事と生活の調和・調整を実現できているかだ。その点については、直接的な質問はされていないが、ヒントにつながる問いが投げかけられている。
ワークライフバランスが「悪い」と回答した人に対する改善策についての質問だ。「やりがいの持てる仕事に就く」と答えた人が最も多かったのは派遣社員で32%。次いで契約社員が26%、アルバイト25%と続いた。一方で正社員は22%、フリーランスに至っては11%とこの質問に関しては、逆説的に正社員もしくはフリーランスが仕事への満足度が高いことが浮き彫りになる結果となった。
こうなると一転、非正規社員のワークライフバランスの満足度が怪しくなってくる。確かに残業なく時間通りに仕事は終わる。しかしその一方で、仕事にはそれほどやりがいを感じていない。そうだとすれば、仕事と生活の調和は起こりづらく、単に残業がほとんどなく、仕事の時間とプライベートの時間がキチンと線引きされているだけ、ということでしかない。
仕事が充実し、その結果、私生活も充実し、さらに仕事への意欲が高まる。こうした真の意味のワークライフバランスを実現するにはどうあるべきなのか…。この調査から推察するなら、それはやりがいのある仕事に就いて正社員でありながら、非正規並みに残業なしで労働時間と私生活の線引きも明確になっている。つまり、正規と非正規のいいとこどりがその解、ということなる。そうなればもはや、正社員と非正規の線引き自体が無意味になるが、解雇のし辛さが残されるとなると、企業にとっては負担増を強いられる。
正社員の待遇を引き下げるか、解雇しやすい契約ルールを新たにつくるのか。実現には労使双方が痛みを伴う大胆なアクションが不可避といえそうだが、相当難航することはいまから目に浮かぶ…。働き方改革はその重要なカギを握るが、果たしてこの難所をどうクリアするのか…。
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