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軍事研究アンケート 学生と教員で意見にずれ教員は反対が多数 (2017/7/10 筑波大学新聞

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 防衛省が大学などを対象に安全保障関連の研究に資金の拠出を始めたことを機に大学と軍事研究の関係が問われる中、筑波大学は3月、軍事研究を否定する方向での指針作りに着手した。これらを受け、本紙は日本の大学による軍事転用を見据えた技術研究の是非を問うアンケートを実施。学生796人、教員184人から返答があった。その結果、学生は賛成派が31.1%(248人)、反対派が34.4%(274人)と意見が拮抗。一方、教員は反対派が54.9%(101人)で賛成派23.9%(44人)を大きく上回り、学生と教員の意識の相違が浮き彫りになった。

 アンケートは5~6月に実施。「反対」「どちらかといえば反対」と回答した「反対派」の学生274人、教員101人に複数回答で理由を聞くと、「大学は学問の場で、軍事とは切り離すべきだから」が学生53.8%(147人)、教員75.2%(76人)と最多だった。また「賛成」「どちらかといえば賛成」の「賛成派」の学生248人、教員44人が選んだ最多の理由は「軍事につながることを恐れていたら、民生用の研究も自由にできなくなるから」で、学生58.5%(145人)、教員54.5%(24人)だった。

 一方、学生の結果を文系、理系別に見ると、回答した理系(381人)のうち賛成派は34.4%(131人)で、反対派の26.3%(100人)を上回った。文系(414人)では賛成派28.0%(116人)、反対派42.0%(174人)で、文理で賛否が逆転した。

軍事転用を見据えた技術研究の賛否

 このほか教員では、年齢が上がるほど軍事研究への反対派が多くなる傾向があった。40代(58人)では賛成派が29.3%(17人)、反対派が46.5%(27人)だったのに対し、60代以上(22人)では賛成派が9.2%(2人)で、反対派77.2%(17人)と大きな開きがあった。

 本紙では、2015年11月にも筑波大生600人に同様のアンケートを実施。この時は、大学の軍事研究に「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した賛成派は33.5%(201人)で、「反対」「どちらかといえば反対」の反対派27.4%(164人)を上回った。また文系、理系別で見ると、理系(267人)のうち、賛成派は42.0%(112人)、反対派は21.8%(58人)。文系(331人)では各26.8%(89人)、32.1%(106人)だった。

 防衛省の資金拠出制度は15年に開始。これまでに北海道大、東京農工大など計9大学の研究が採択された。これに対し、戦後軍事研究を否定してきた日本の科学者の代表機関・日本学術会議は3月、この立場を継承していくことを決定。筑波大も、軍事研究を否定する方向で指針作りに動き出している。

(筑波大学新聞・添島香苗(そえじまかなえ) 生物科学専攻1年)

提供:筑波大学新聞 第336号 2017.07.10発行

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