自治体の登録受付を開始 「LIFULL HOME’S空き家バンク」 (2017/7/24 Airstair)
国内最大級の不動産情報サイト「LIFULL(ライフル)」は7月19日、自治体が募集する空き家などの利活用者を結ぶプラットホーム「LIFULL HOME’S空き家バンク」を開始したと発表した。国交省のモデル事業の一環で、全国の空き家問題の解消に役立てる。
空き家バンクは、全国の自治体が募集する空き家・空き地を利活用希望者とマッチングするシステム。国交省が推進する「全国版空き地・空き家バンクの運営構築に関するモデル事業」をライフルが運営主体となって展開する。各自治体が個別に公開している物件情報を「空き家バンク」で一元化し、共通のフォーマットを通して利用希望者が検索できる仕組みを構築した。2017年9月からベータ版のサービスも開始する予定だ。
同日、ライフルの井上高志社長、全国空き家バンク推進機構の樋渡啓祐理事長、浜松市の鈴木康友市長が会見を行った。井上社長は「諸外国の空き家率から見ても、人口の多い米国でも10%程度で、日本の13.5%は異常事態」と説明。鈴木市長は「(空き家対策を)個別の自治体で取り組むには限界がある」と、いち早く空き家バンクへの参加を決めた理由を語った。
空き家バンクのスタートにあたり、事前に100近くの自治体に利用を促す打診をしたところ、浜松市を含む77の自治体から参加表明があったという。今後も増加するとみられ、空き家バンクでは、引き続き全国の自治体から登録受付を募集していく。
ライフルでは、空き家バンクを立ち上げるにあたり、全国空き家バンク推進機構と提携。今後の普及推進に向けて、共同で事業を進めていく。同機構は2017年6月に空き家問題の解消を目指すために設立した社団法人だ。樋渡理事長は元佐賀県武雄市長、理事に中田宏元横浜市長ら、自治体首長経験者や学識者らで構成している。
国内の空き家率は、少子高齢化による人口減少などの影響で深刻な状況に陥っている。2013年に総務省が行った最新の統計によると、全国の空き家は820万戸で空き家率13.5%。この傾向はさらに加速していくとみられ、2033年には空き家率が30%を超えると予想される。空き家は老朽化による倒壊、失火、犯罪の温床になるなど、多くの問題を抱えている。解体に多額の費用がかかるのも、空き家が増える要因になっている。
空き家バンクが機能すると、新たな住宅供給源ができるのがメリット。I・Uターンなどの移住が活性化し、政府が掲げる地方創生の足がかりになるきっかけにもなりそうだ。
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