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「辞めようかな」。退職を考える理由の2位は評価。1位は? (2017/7/5 瓦版

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退職理由から洞察するその後の行く末

人材流動化が加速する中、会社員の退職も珍しくなくなっている。では、その理由はどうなっているのか。エン・ジャパンが6,355人を対象にアンケートを実施し、5,796人から回答を得た。その結果から、退職理由とその後について考察してみる。

退職を考え始めたきっかけ

退職を考え始めたきっかけ(エン・ジャパン調べ)

「退職を考え始めたきっかけ」という質問に対し、最も多かった回答は、「給与が低かった」で46%に及んだ。決して、現状を「点」としてみているのではなく、「何年いても給与が数万しか上がらない上司をみて」(25歳男性)という答えに象徴されるように、将来への絶望感を含んでのものだけに深刻だ。

2位は、「評価や人事制度に不満があった」が37%。こちらは「ミスの多い先輩が年功序列で昇進」(26歳女性)という声が挙がっているように、やや主観も交じっている感はあるが、アリがちな不満が原因のようだ。3位は、「残業や休日出勤が多くて辛かった」(28%)となった。

以下、「業界や会社の将来が不安になった」(26%)、「人間関係がうまくいかなかった」(23%)、「仕事のし過ぎで体調を崩した」(20%)、「他にやってみたい仕事ができた」(18%)、「社風や風土になじめなかった」(17%)と続いた。

いずれも辞める理由だけに、納得のいく回答だが、「その後」を考えたときどうなのだろうか。例えば、第1位の「給与が低かった」で退職したとする。所属企業が業界では下位の部類だとすれば、上位の企業へ転職することで報酬アップを勝ち取れるかもしれない。だが、そのためには相当な実績が求められるだろう。つまり、退職理由を納得したものにする“結果”にするのは極めて高いハードルが待ち受けていることになる。

2位の理由だとどうだろう。いまの会社の評価が理不尽なのが事実だとしても、着いた評価は変わらない。それをもとに転職活動するにしても、先方に誤解なく正確に実状を伝えるのは極めて困難だ。仮に関門をクリアできても、そこで適正は評価が行われる保証はない。

思い付きでの退職で幸福になれる時代は終わった

残業や休日出勤。これについては、しっかり調査すれば、良好な職場へたどり着ける可能性はあるだろう。だが、給与ややりがいなど、失うモノがないとは限らない。休みが増えることで明確にやりたいことがあるならともかく、単に現状逃避の意味合いで、労働時間の軽減にこだわるなら、将来が明るい保証はないだろう。

「業界や会社の将来が不安になった」という理由なら、同業への転職は難しく、必然的に異業種転職となりそうだが、当然、ハードルは上がる。「人間関係」が理由も珍しくはないが、よそへ行ってもいい上司に恵まれるとは限らない…。

退職理由を伝える上で、不安な点・気になる点

退職理由を伝える上で、不安な点・気になる点(エン・ジャパン調べ)

決して辞めたいと思うことを否定するつもりはない。辞めるのもよしだ。だが、辞めたいと思った会社は一度は入ってもいいと思った会社であることを考えれば、2度目、3度目があっても不思議はない。実際、同じアンケートで「転職後の職場や仕事に満足しているか」の質問に対し、「している」は13%に留まっている。「どちらかといえばしている」が32%で合わせると46%が満足といえるが、この場合の「どちらかといえば」は、自分の選択に対し、そう思うようにしている可能性も高く、決して肯定的には捉えられない。

働き方改革が進み、人材流動化も加速している。着実に労働環境はよくなっているが、一方で重要なポイントがある。いい環境の職場、有望な業界には、優秀な人材が行きやすくなっているが、そうでない人材は滞留しがちということだ。

給与が不満という理由で高給の企業へ転職するなら、それに見合った実績が自分にあるのか。なければ、少し踏ん張って、実績を積み上げてから転職する。職場環境の良化の潮流に浮ついて、隣の芝生ばかりを見ていても、取り残されるだか。思い立っての転職が、割いてでも現状維持という時代は、社会・産業構造の変化によって、残念ながら終焉してしまった…。

提供:瓦版

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