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介護施設・在宅医療、2018年度からの計画的な整備を―医療計画見直し検討会(1) (2017/6/30 メディ・ウォッチ

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 地域医療構想の実現に向けて、2018年度時点から計画的に在宅医療提供体制・介護施設を整備していく必要がある。当面の介護保険料上昇を抑えるために介護保険サービス整備を先送りすれば、後に急ピッチでの整備が必要となり、それは「急激な介護保険料の上昇」を招くので注意が必要である―。

 30日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」では、2025年に向けた介護サービス・在宅医療などの必要量を見込む考え方を整理しており、そこではこうした注意点が明らかにされました。

6月30日に開催された、「第11回 医療計画の見直し等に関する検討会」

6月30日に開催された、「第11回 医療計画の見直し等に関する検討会」

一般病床から退院した人のほとんどは外来医療を受診、在宅医療などの需要とせず

 高齢化の進展によって在宅医療・介護サービスの需要が増加します。これに加え、地域医療構想策定ガイドラインでは、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療や介護施設で対応する」としており、これが「新たな需要」となります(病床の機能分化・連携による需要増)。

地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療などで対応する」こととなっている

地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量175点未満の患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療などで対応する」こととなっている

 前者は人口構成の動向から見込むことができますが、後者は推計手法を確立し、適切に推計しなければ、「患者の行き場がない」状況に陥ってしまいます。そこで検討会では、「新たな需要」の推計方法を議論してきたのです。大きく(1)新たな需要をどのように見込む(推計する)か(2)新たな需要を在宅医療と介護施設にどう按分するか(3)需要を満足させるサービスをどのように整備していくか―の3つのプロセスに分解して考えることできます。

地域医療構想では、▼一般病床のC3未満の患者▼医療療養病床の医療区分1患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―は、外来・在宅医療・介護サービスのいずれかで対応することとなり、その整備量をどう見込むかが当面の重要課題の1つである

地域医療構想では、▼一般病床のC3未満の患者▼医療療養病床の医療区分1患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―は、外来・在宅医療・介護サービスのいずれかで対応することとなり、その整備量をどう見込むかが当面の重要課題の1つである

 まず(1)の「需要推計」方法です。上述のように新たな需要の候補として▼一般病床に入院するC3未満の患者▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―がありますが、このうち「一般病床のC3未満患者」について検討会は、「外来医療で対応する」、つまり「新たな在宅医療・介護施設の需要には含めない」との考えを固めました。

 患者調査の結果からは、「一般病床から退院した患者の約8割は自宅に退院しており、在宅医療や介護施設の利用者は少ない」ことが分かったためです。検討会の構成員からは「高齢の患者では在宅医療受給者が多いのではないか」「入院期間が長い患者では、退院後に介護施設への入所が多かったりするのではないか」との指摘も出されましたが、厚労省医政局地域医療計画課で詳細に分析したところ、年齢や入院期間などに大きな影響を受けないことも分かりました。

 したがって、「新たな需要」としては、▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を考えることになります。

介護医療院への転換量を調査し、新たなサービス整備量から差し引く

 次に(2)の「新たな需要を在宅医療と介護施設でどう按分するか」を考えることになりますが、その前に【介護医療院】の転換量を差し引いておく必要があります。介護医療院は、当面、「既存の」介護療養病床や医療療養病床からの転換が主となる(つまり既に整備されている)ためです。

 ただし介護療養病床は、今後6年かけて介護医療院や医療療養病床などに転換することが求められます。そこで介護医療院の転換量は、▼2020年(第7次医療計画の中間見直し時点)には「転換意向調査を行って把握した数」を下限として見込む▼2023年(第7次医療計画の終了時点)には「全数相当数」を見込む(転換が完了するため)―ことになります。

 このように介護医療院で対応できる数を差し引いた分が、実際に「新たに在宅医療や介護施設で対応しなければならない」需要となります。この需要が例えば1万人分と推計されたとき、何人分を在宅医療で対応し、何人分を介護施設で対応すればよいのでしょう。これが「按分」の問題です。

 厚労省は次の3つの手法を提示し、「地域でどの手法を用いるか判断してほしい」と述べています。

▼患者調査の活用(例えば、医療療養からの退院患者の退院先を見ると、在宅医療1・介護施設3という割合である)

▼国保データベース(KDB)の活用(レセプトから、療養病床入院患者が退院後に、どの介護施設に入所したかなどが把握可能)

▼病床機能報告結果の活用

 患者調査結果には「医療区分などの情報が含まれない」などのデメリットがありますが、都道府県などの負担は小さく済みます。またKDBを用いれば詳細な情報が得られますが、相当の作業負担が生じるという課題があります。地域の実情(人員など)を踏まえた選択が求められます。

2020年、2023年の2つのゴールを設定し、計画的に介護施設などを整備

 (2)で按分を終えた後に、実際に在宅医療の整備量を医療計画に、介護施設の整備量を介護保険事業(支援)計画に記載することになります。

 医療計画は2018-23年の6年を対象としますが、2020年に中間見直しを行います。また介護保険事業(支援)計画は、2018-20年(第7期計画)、2021-23年(第8期計画)という具合に3年を対象とします。したがって、▼2020年(医療計画の中間見直しと、介護保険の第7期計画)までにどの程度整備するか▼2023年(第7次医療計画のゴールと、介護保険の第8期計画)までにどの程度整備するか―という2つの目標を立てることが必要です。

 地域医療構想は「2025年に必要となる医療提供体制」を描くものであるため、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「2018から2025年の8年間で、在宅医療や介護施設の新たな需要に対するサービスを整備することになり、等比按分(毎年、同じ量のサービスを整備していく)し、▼2020年までに、2025年時点の8分の3のサービス整備する▼2023年には8分の6のサービスを整備する―ことを基本としてはどうか」との考えを示しました。例えば、2025年時点で新たに1万人分の在宅医療を整備するのであれば、2020年までに3750人分、2023年までに7500人分を整備する、といったイメージです。

 ここで注意しなければならないのが「計画的にサービス量を整備していかなければならない」という点です。介護施設を整備すれば、介護保険料アップにつながるので、「ゴールである2025年に間に合えばよいであろう。2020年までは整備を控えて介護保険料の上昇を抑え、状況を見ながら後に急ピッチで整備していこう」といった考え方をとる自治体も出てくるかもしれません。しかし、これは将来、極めて急激な保険料上昇を招くことになってしまいます。厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、このように整備を先送りすれば、将来にツケが回ることを説明し、計画的な整備の重要性を強調しています。

在宅医療の計画的整備に向け、医療計画に具体的な「数値目標」を記載

 ところで現在の医療計画(第6次計画)を見ると、在宅医療の整備目標を記載している自治体は24(47都道府県中)にとどまり、記載している自治体であっても具体的な数値を記載していないところもあります。これでは的確な在宅医療提供体制の構築がおぼつきません。

 そこで厚労省医政局地域医療計画課・在宅医療推進室の伯野春彦室長は、「都道府県と市町村で『協議の場』を設置し、将来の在宅医療整備量を議論し、【具体的な目標値】と【達成に向けた施策】を医療計画に記載することを原則とする」ことを打ち出しました。

 もっとも、地域によって状況は異なるため、次のいずれかの方法で目標を設定することが可能です。相澤孝夫構成員(日本病院会会長)は「在宅医療の整備量は、地域における病院の機能分化の状況にも左右される。例えば、療養病床が少ない地域では在宅医療をきちんと整備しなければならないであろう」と述べ、地域において慎重に目標設定などを行うよう求めています。

(1)将来需要の伸び率を算出し、それと同じ比率で施設数を増やすことを目標とする

(2)例えば▼在宅医療特化型の診療所▼在宅と外来をバランスをとって診療する診療所▼外来をメインとする診療所―に分け、それぞれで対応可能な在宅患者数を勘案して、施設整備目標値を設定する

 このほか、医療計画には▼退院支援・急変時対応・看取りといった機能ごとの目標▼訪問看護・訪問歯科診療・訪問薬剤管理指導といった主要職種ごとの目標―についても記載することが望ましいとされました。

 なお在宅医療提供体制の整備にあたっては「地域医師会などとの連携」が極めて重要となるため、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は好事例情報を周知するよう、厚労省や日本医師会に要望しています。

提供:メディ・ウォッチ

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