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職場への進出も着実に広がるAIの気になる貢献度 (2017/6/29 瓦版

関連ワード : ICT 労働・雇用 科学技術 

脅威というより驚異的な活躍?

AIは仕事を奪う脅威。その議論はさておき、人工知能は着実に職場に浸透を始めている。実際、その活躍ぶりはどうなのか。可能性は?。専門の展示会「AI・人工知能EXPO」(東京江東区の東京ビッグサイト:~6月30日)が都内で初めて開催されるなど、ますます注目度が高まる、その最前線をリポートする。

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初の専門展開催でみえてきたその実力と可能性

AIは大量のデータから傾向などを分析・学習し、最善に近いものを瞬時に見つけ出すことが得意だ。人間が脳で行っていることに近いが、とにかく速い。人が何時間もかかることを数秒でやってのけるなどは普通だ。かつて、工業ロボットが、人の何十倍ものパワーを装備し、肉体労働者に取って代わった歴史があるが、今度はパワーでなく頭脳の面でロボットが人を凌駕しようとしている。

チカラではかなわないが、頭脳は人間ならではのもの。そんな“聖域”と思われた領域にまでロボットが侵入してきたことで、AI脅威論は高まっているが、実際の現場では、人の仕事を力強くサポートし、労働力不足に貢献している。

言語解析力の高さでスムースなチャット対応を実現することで友人対応を激減させた

言語解析力の高さでスムースなチャット対応を実現することで友人対応を激減させた

昨今、急速に普及しているチャットボット。いわゆる自動応答システムは、特に企業サイトでのFAQにおいて、大活躍している。NTTコミュニケーションズの「COTOHA Chat&FAQ」は、同社の関連サイトに装備され、顧客の質問に答えるAIコンシェルジュとして、活用されている。

無人対応で想定以上の成果したチャットボット

AIなので、当然、稼働は24時間365日。そこで期待されるのが、土日の時間外の無人対応だ。これまでは対応できていなかったが、実は全体の約38%が集中する、問い合わせラッシュの時間帯。その解消が同サービスに託されたが、すぐれた結果が出ている。2017年1月の導入開始からこれまでに、Web経由での問い合わせ総数は約4倍増。AI対応でうまくいかない場合には、有人対応に切り替わるが、その出番は63%も削減された。つまり、AIコンシェルジュがWEBへの誘引を増大させるだけでなく、人の代替として機能し、しっかりと負担軽減に貢献したのだ。

同社担当者は、その結果を「想定以上」と驚きの表情を見せたが、今後は音声対応も踏まえ、さらなる精度や利便性向上を図る意向という。人件費に換算すれば、おおよそ月20万円のコスト削減と考えられるそうで、サービス利用料も19.5万円~に設定されている。人が休むべき時間帯は、AIに任せる。それもひとつの選択肢、と現実的に考えさせてくれる説得力のある“エビデンス”といえるだろう。

音声対応のAI受付嬢の会話は想像以上に滑らかだ

音声対応のAI受付嬢の会話は想像以上に滑らかだ

接客・販売業でのAI活用もジワジワ進みつつある。ティファナ・ドットコムの「人工知能会話型システム KIZUNA」はさまざまな接客対応が可能なAI。ペッパー登場以降、普及が進むタイプのAIだが、同機は日本語に加え、英語・中国語・韓国語に対応する国際派。インバウンド需要の増大で、接客でも多言語対応が求められる中、その活用シーンが多く目に浮かぶツールといえるだろう。

専門職にも及ぶAI化の波

専門職ならまだまだAIには負けない。そんな自信があるかもしれないが、こうした分野にもAIは広がっている。ヴィンクスの「SENSY Sommelier」は、いわばAIソムリエ。人が3種のワインを試飲し、その感想を入力すればおススメのワインをチョイスしてくれる。食事に合わせたチョイスも可能で、さらに学習機能で好みを学習し、より好みのワインを選択するようになる。まさに一流ソムリエも顔負けのパフォーマンスで、食を楽しませてくれる。

ワイン

NTTコミュニケーションズはAIを活用した高度映像解析もリリースしている。用途としては、監視カメラの映像からの犯人の特定が考えられている。探したい人物像を登録すれば、映像から人物を特定。目視でかかる時間の最大で75%を削減する驚異のスピードだ。決して鮮明でない映像から人物を特定する作業は、なかなかの困難。ところが同サービスは、高い精度と高速解析を両立し、さらに微妙な違いも学習機能によってしっかりと見極める。

防犯カメラの映像から特定人物を素早く見つけ出す高度画像解析

防犯カメラの映像から特定人物を素早く見つけ出す高度画像解析

捜査支援での活用はもちろん、徘徊老人の捜索などでの活用も期待され、今後、導入機関・店舗が増大していきそうだ。展示会場にはその他にもAI関連だけで110社が出展。職場へのAIの広がりが、これから一層加速していくことを十分に予感させる盛り上がりをみせた。

今回、ほんの一例を紹介したが、AIの印象は変わっただろうか。人が休むべき時間に働いたり、人がやるにはあまりにも負荷が大きな仕事を何食わぬ顔でスピーディに対応する“労働力”としてのAI。そもそも開発するのは人間であり、使うのが人間である以上、業務を効率化したり、生活を豊かにする目的で使うのがごく当たり前というものだろう。

AIが仕事で活躍するシーンが増えれば、人の負担は減り、代わって本来やるべき業務に集中できる――。少子高齢化が進む中、少なくとも今のところ、AIの職場への広がりは、ネガティブな側面はなく、むしろ明るい未来につながっているようにしかみえない。

提供:瓦版

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