米連邦議会、マネロン・テロ資金供与対策法に『仮想通貨』を追加 (2017/6/15 ビットコインニュース)
チャック・グラスリー上院議員とダイアン・ファインスタイン上院議員は、5月25日、「Combatting Money Laundering, Terrorist Financing, and Counterfeiting Act of 2017」と題し、金融取引報告義務を仮想通貨取扱事業者やプリペイドカード取扱事業者に対し課すことを含めた法案を提出した。
本法案は国際テロ組織への資金供与や脱税、スパイに関する活動を抑制するため、資産に類するサービスを提供するあらゆるサービス主体に対して金融取引の記録と報告義務を求めることを目的としている。金融資産のデジタル化に伴い、より高度化するテロ組織の資金・武器調達に対抗するため、新たにいくつかの事業者が加えられた。
新たに追加されたのは、「プリペイド・アクセス・デバイス」「仮想通貨」及び、仮想通貨取引所、仮想通貨送信仲介業者(Tumbler of digital currency)だ。プリペイド・アクセス・デバイスとは、クーポンコードやシリアルナンバー、個人識別番号などを用いてお金の移転を行うことができる手段を指している。法案が可決されれば、これらを取り扱う事業者は、当局に対して報告義務を負うことになる。
本法案がr/bitcoinのようなRedditコミュニティにおいてもホットトピックになっている理由のひとつは、「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)」への影響可能性だ。これは、非米国居住者のすべての米国人に対して、一定以上の資産を保有する場合に義務付けられる年次報告のための法律で、協力関係にある国の金融機関は共通の報告基準をもって米IRSに対し報告されている。
仮想通貨への注目が高まるにつれ、仮想通貨への投資によって資産を形成する人々が増加した。政府は、これらの人々から税金を徴収したいと考える一方で、しかしながら仮想通貨の特異性がそれを困難にしている状況が続いている。政府は、どうにかして仮想通貨建て資産を把握したいと考えるはずだ。コミュニティでは、「連邦議会に提出された法案は、その足がかりのひとつとして考えて良いだろう」とする声も見られた。
たとえば2015年にBBVAとUSAAから巨額の出資を受けた米コインベースは、USAAを含むいくつかの銀行アカウントと連携し、ビットコインの残高を銀行口座と一緒に管理する機能をリリースしている。
その上、ビットコインを含む仮想通貨の殆どはトランザクション記録が透明で、どこからどこに送金されているかが外部から追跡することが可能である。もし政府が市民の仮想通貨残高を正確に把握し、そのトランザクションを追跡できるようになれば、『1984年』(ジョージ・オーウェル)の世界観すら実現する可能性もあるだろう。果たしてこれを、杞憂で終わらせていいものなのかはまだわからない。
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