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九大箱崎キャンパス跡地に描く、日本の都市の未来像 官民学が連携する「FUKUOKA Smart EAST」計画の全貌 (2017/1/30 nezas)

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平成17(2005)年より、福岡市西区・伊都地区への移転が始まった九州大学。現在、東区の箱崎キャンパスに残る文系学部と農学部も平成30(2018)年度に移転が完了します。では、ぽっかり残された箱崎キャンパスの跡地が、今後どのように活用されるかをご存知でしょうか?

実はここで、イノベーションが自発的に生まれる未来都市を作る計画が着々と進んでいるのです。福岡市や九州大学が地域と共に検討してきた「跡地将来ビジョン<平成25(2013)年2月>」や「跡地利用計画<平成27(2015)年3月>」を踏まえながら、ほど近い福岡アイランドシティと合わせて、「FUKUOKA Smart EAST」プロジェクトと名付けられ、世界に誇れるまちづくりへのチャレンジが始まっています。

人口の減少や少子高齢化といった日本が抱えている課題に対して、生活の質や快適性を落とさない持続可能な都市空間を創出することは不可欠。そのため、約50ha(約15万坪)という広大な敷地面積を誇る箱崎キャンパス跡地を活用し、日本全体の課題を解決できるようなイノベーティブな都市をつくろうというわけです。

箱崎キャンパス跡地は福岡空港や福岡都心部から4km以内の好立地で、福岡市営地下鉄貝塚駅と箱崎九大前駅、JR箱崎駅の3つの駅に囲まれるなど交通アクセスも抜群。“福岡から世界の先進的な都市のモデルを作っていこう”という大胆な提案をするにあたって、これ以上ない場所と言えます。

「FUKUOKA Smart EAST」プロジェクト1

「FUKUOKA Smart EAST」構想は、9月に発表され、11月に開催された「都市革新フォーラム」では、各業界のキーパーソンらにより中身の濃いディスカッションが行われました。第一部の基調講演に登壇した、ハーバード大学大学院の教授であり世界経済フォーラム(ダボス会議)にも参加する森俊子さんは、福岡について“素晴らしい可能性に満ちた都市”と評価。さらに「トップ10の都市革新」について言及、都市の未来に必要不可欠なイノベーションの事例について解説しました。

「トップ10の都市革新」とは、ダボス会議で示された、都市の未来に関するグローバルアジェンダカウンシルの中で示されたレポート。「未使用空間の解放」「都市型農業」など、最新のテクノロジーを駆使して実現可能な10項目が掲げられています。

「FUKUOKA Smart EAST」でも、これらの提言を参考に、まちにさまざまな機能を盛り込むことを検討しています。例えば、「スマートモビリティ」。新たなモビリティのあり方を考えた時に例として挙げられるのは、自動運転バス。近日中に、九州大学伊都キャンパスで、福岡市、九州大学、(株)NTTドコモ、(株)ディー・エヌ・エーの4者で組織された「スマートモビリティ推進コンソーシアム」による自動運転バスの実証実験が行われる予定です。

また、個人の健康や安全に貢献する「スマートウェルネス」。例えば、建物や街中に設置された高精度のセンサーと、スマートフォンやウェアラブル端末を用いて、子どもの見守りや高齢者の徘徊対策、健康状態の把握などを行います。

この他にも、新しい技術の導入だけでなく、新たに生み出された“モノ”をまちの中に実装し、自律的なモデルを作っていく予定だとか。

同イベントで登壇した、高島宗一郎市長はこの都市構想を次のように語っています。

「この計画は、最新のテクノロジーを盛り込んだ、他にはないまちを作るのが目的ではありません。住む人の幸せを第一に考えたまちづくりこそ、我々が作りたいもの。福岡も今後10年で高齢化が大きく進みますし、高齢化の問題は田舎よりも都市部で深刻になります。そんな時、個人の幸せを削らずに快適な都市生活をいかに維持していくか、そのための実証実験をするフィールドを整えていきたいと思います」

「FUKUOKA Smart EAST」プロジェクト2

今後の計画としては、平成30年度に学内施設の移転が完了し、建物の解体や土壌汚染調査、埋蔵文化財発掘調査などを行い、平成31(2019)年度より土地利用事業者を公募。建物・設備の建設とテクノロジーの実装が行われ、実際に人が住めるようになるには、少し先になるとのこと。

福岡市の九大跡地計画課の担当者は次のように語っています。

「まちが形成され、この地に人が住み働き始める頃には、東京オリンピックもすでに終え、現代的な都市のあり方についての議論はさらに進んでいるでしょう。都市基盤を支えるテクノロジーも、それまでの間にさらなる進歩があると思います。このFUKUOKA Smart EASTが具体的にどんな機能を持ち、人々の幸せにどう寄与するのか、まだまだ予想がつかない部分も多くありますが、だからこそ今後の展開を楽しみにしています」

この場所から日本社会が抱える課題を克服するイノベーションは起きるのでしょうか。そして世界に先駆けたモデル都市になれるのでしょうか。福岡のチャレンジはまだまだ続いていきます。(提供元:#FUKUOKA

提供:nezas

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