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みちのく銀行が移住・子育てを支援する低利融資を実施 (2016/11/18 nezas)

日本全体が抱える課題の一つに、少子高齢化がある。その結果として、日本は人口減少に直面しつつあるのだ。さらには人口が減り続けることで、労働人口の減少や地方経済の衰退が懸念されている。この状況を何とかしようと立ち上がっているのが、地方銀行だ。全国各地で地方銀行同士の合併や統合が続いているが、その動きも地方経済活性化のための基盤づくりだといわれている。

そんな地方銀行の一つに、青森県青森市のみちのく銀行がある。みちのく銀行は2014年から、地元の弘前市と連携して人口減少対策への取り組みを開始した。移住や子育てに積極的に取り組む個人や企業を対象に、さまざまな形で支援を実施しているのだ。みちのく銀行が取り組む、人口減少化対策をみてみよう。

お母さんと子ども

人口増加、健康長寿化に取り組む青森県

青森県の人口減少が深刻なものであることは、人口統計を見れば一目瞭然だ。2015年の国勢調査では約130万6,000人、ピークだった1983年の約152万9,000人から大きく減少している。国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年の青森県の人口推計ではさらに減少して93万2,000人になるとみられている。弘前市だけで見ても2015年で17万6,000人、2040年には13万9,000人と予想され、人口減少には歯止めがかかりそうににない。さらに青森県には、平均寿命が短いという課題もある。厚生労働省の発表によると、男女とも全国最下位だ。

そこで、青森県全体でさまざまな取り組みを実施してきた。たとえば、子育て支援や健康長寿化対策として、若年層の県内定着を目的にした「攻めの農林水産業」の推進を展開している。2014年には「青森県基本計画未来を変える挑戦」として三つの戦略プロジェクトを設定した。その第一に「人口減少克服プロジェクト」を掲げている。2015年8月には「まち・ひと・しごと創生青森県長期人口ビジョン」を立ち上げて、今後5ヵ年計画で人口急減、超高齢化に立ち向かう戦略を立てている。

銀行が移住、子育て支援融資を提案

そのような状況のなかでみちのく銀行は、人口減少を最重要課題として位置付けている弘前市と連携した。金融機関としては県内初となる「人口減少対策」への取り組みを開始したのだ。

具体的には、みちのく銀行が弘前市に対して支援活動を提案している。

1. 弘前市認定企業(県外からの移住者支援、子育て支援などに取り組んでいる企業)、およびその従業員を対象とした貸出金利引き下げの実施
2. 子育て支援および同居・近居支援(貸出金利引き下げ)の実施
3. 県外からの移住者支援(貸出金利引き下げ)の実施
4. 子どもたちへの金融・経済教育「キッズスクール」の開催

提案に基づいて開始されたのが、たとえば融資金利引下げだ。弘前市が、県外からの移住者支援や子育て支援等に積極的に取り組んでいると認定した企業や個人事業主を対象に、低利の融資制度を設定した。

個人を対象にした「消費者ローン」も制度化している。これは弘前市が認定した人には、消費者ローンの金利を0.2~0.5%引き下げるという仕組みだ。たとえば、次のような人が対象になる。

・ 弘前市が認定した移住応援企業・子育て応援企業の従業員(移住・子育て支援)
・ 扶養家族となる子供が2人以上の人(子育て支援)
・ 2世帯家族以上の人(同居・近居支援)
・ 5年以内に県外から移住してきた人(移住者支援)

ちなみに、提言の中にあったキッズスクールも定期的に開催している。2016年7月には、弘前市と青森市で小学生を対象にした銀行の親子見学会を開催。将来を担う子供たちに、お金の大切さや正しい使い方などを教える金融経済教育の一環で、銀行見学や通帳の作り方、お札の鑑定、名刺交換などを体験するスクールだ。

「認定制度」プラス「低金利融資」の相乗効果?

こうしたみちのく銀行の支援活動は、人口減少を食い止めたい地方自治体と地方銀行との連携によって成立した取り組みだが、その狙いは仕事と子育てを両立できる職場環境づくりにある。

人口減少や地方経済の衰退が顕著になるなかで、これまで以上に「産・官・学・金」の一体化が求められているのが現状だ。人口減少対策を目的とした自治体(官)と地元の地方銀行(金)との連携は、青森県でも初めてである。なかでも注目されている仕組みは、地域での子育て支援活動に積極的に取り組む企業を「弘前市子育て応援企業」として認定する制度を設けたことだ。

認定を受けた企業は認定マークを広告宣伝活動に使うことができ、市のホームページなどでも企業名を公表している。もちろん、前述のように金利の低い融資を受けることも可能であり、地域の企業にとってもメリットがある制度になっている。

ちなみに、弘前市には「子育て応援企業」「移住応援企業」に加えて「ひろさき健やか企業」といった認定制度もあり、総合的に活用することで人口減少抑制を目指している。

地方銀行による地方経済活性化への取り組み

全国の地方銀行で、地方経済活性化に向けた取り組みが拡大、定着しつつある。

みちのく銀行が取り組んだように、今後は自治体や地元企業、そして地域の大学や研究機関などと提携して、相乗効果を狙った取り組みを実施していくだろう。さまざまな分野から支援の輪を広げて、日本全体の課題である少子化対策に取り組む必要があるのかもしれない。

提供:nezas

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