発達障害児など対象に「子どもの遊び場」開校―非営利団体ジョガボーラ (2016/7/21 タウンニュース)
神奈川県と東京都でサッカー教室を展開する非営利団体「ジョガボーラ(森久保憲秀代表)」が、発達障害児などを対象に、子どもの主体性を尊重した遊び場「Dアウラ」を市立大野台小学校(南区)で8月から開校する。相模原市によれば、こうした発達障害児を対象とする取組みは市内でも珍しいという。
非営利団体「ジョガボーラ」は2013年に発足。きっかけは、森久保代表が今から約10年前にブラジルへ渡った際、サッカーを心から楽しんで「遊ぶ」子どもたちに触れたことだった。帰国後、親の意向だけでサッカーを始め競技を楽しめていない子どもや、ルールに縛られて自由に遊べていない児童がいる現状に、「何か違う」と違和感を覚えた。「遊び場がない子どもたちの居場所づくりを支援したい」と、受け身ではなく、子どもたちが自ら考え、工夫して「遊ぶ」ことを目的とし、団体を創設した。
そうした中で、森久保代表がコーチを務める地元サッカーチームに所属し、大学では発達障害児と交流を図るゼミに所属する学生から「自分の気持ちを上手く表現できない」「集団になじめない」といった悩みを抱える発達障害児らが、地域に居場所を持てずにいる現況を聞いた。「誰かに与えられた個性ではなく、一人ひとりが違った個性を持ち、社会に出て幸せになってほしい」。森久保代表らは同ゼミ生らに協力を仰ぎ、2013年に八王子、翌年には東京都府中市で「Dアウラ」を立ち上げた。今回、緑区在住の森久保代表が「地元に貢献したい」と相模原で開校を決定した。
「主体性」を尊重
同教室では、発達障害児や、発達障害の診断はないが多少のサポートが必要な児童を対象に、子どもたちがその日やりたい遊びを積極的に採用するなど「主体性」を尊重している。同団体の取組みについて、教育学を専門とし、発達障害児の支22援に精通する和泉短期大学の河合高鋭(たかとし)教授は「ルールや回りに合わせて行動することが難しい子どもたちが、社会性を身につける一つのきっかけになるのでは」と話した。その上で、自身も障害児を対象としたスポーツ教室を開校していた経験から「こうした活動は社会的な役割としてとても重要」と今後の活動に期待を込めた。
「活動に理解を」施設利用に課題残す
一方、活動を続ける中では、開催場所の確保に課題を残す。発達障害児などは場慣れに時間を要する場合が多く、会場は天候に左右されない体育館が望ましいが、ボールが壁に当たる音などが騒音になりかねない。加えて、発達障害児の中には障害者手帳を持たない子もいるため、施設を定期利用する際に、減免に必要な対象条件を満たすことができない場合もある。今後について森久保代表は「遊びたいのに遊べない子どもたちがいる場所で積極的に教室を開きたい」と話し、「活動を定期的に実施し、様々な地域に展開していくためにも、我々の活動に対してご支援、ご理解を頂きたい」と呼びかけている。
「相模原Dアウラ」は、大野台小学校(南区・大野台)の体育館で毎月第1・3土曜日に開校する。時間は午後2時15分~3時15分。定員は20人で、参加費は2千円。現在、参加者とボランティアスタッフ(教師をめざす学生)を募集している。申込・問合せは、森久保代表【携帯電話】090・9362・4397か【メール】jogarbola.aula@gmail.comへ。
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