子供の人権をむしばむ児童ポルノ(1) (2016/4/1 法、納得!どっとこむ)
2014年、一関市の小学校に勤務する教員の男が少女の裸の画像をメールで送ったとして児童ポルノ法違反の疑いで逮捕されました。教員は2回にわたり、18才未満の女の子の裸の写真を合わせて数十枚メールで第三者に提供していました。
子供を取り巻く問題として、児童ポルノも深刻なものとなってきています。子供を守るためにも、どのようなものなのか詳しく知っておかねばなりません。
今回は、児童ポルノの定義や、どのような法規制がなされているのかを取り上げたいと思います。
児童ポルノの現状
児童ポルノは、子供に深刻な傷を与えるだけでなく、一旦インターネット上にその画像が流出すると、国境を超えて広がります。オリジナルの画像を削除しても、コピーが出回ってしまうと、そのすべてを削除することは難しく、その回収はほぼ不可能といえます。
児童ポルノの被写体とされた子供の多くは顔を晒されたまま、その画像は永遠に流通し続けるということです。
成人した後、過去の自分の裸の写真などがインターネット上に掲載され続けていることを知り、苦しんでいるというような体験談も後を絶ちません。
子供が児童ポルノの事件に巻き込まれたケースとしては、インターネットのゲームサイトで知り合った中学生の男子に恋心を抱いた女子高生が言われるがままに裸の写真を送ったら、実は60歳の男性がなりすましていたという事案や、40代の男性がインターネットで知り合った女子児童に対し、悩み相談にのるなどをして関係を深めたうえで、ホテルに呼び出し、わいせつな行為をしてカメラで撮影したような事案があります。
いずれもインターネットの出合い系やコミュニティサイトを利用しています。
警察庁が発表している検挙状況・被害状況のデータによれば、平成27年上半期の児童ポルノの被害児童数は383人となっており過去最多を記録しています。
その中でも、騙したり脅したりして子供に自分の裸体を撮影させた上、メール等で送らせる「自画撮り」形態による被害が最多となっているそうです。
自分の子供や身近な人が被害になってもおかしくないという深刻な状況です。
児童ポルノ禁止法
日本では、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法といいます)」という法律が定められており、児童ポルノに対する対策を行っています。
同法によれば、児童ポルノとは、以下のように定義されています。
- 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
- 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
- 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
上記のいずれかが写っている写真、電磁的記録等をいいます。
次回は法律の詳しい内容について取り上げます。