子供の戸籍をめぐる法律(1) (2016/1/15 法、納得!どっとこむ)
「戸籍」とは、個人の出生から死に至るまでの身分上の重要な事項が記載されている親族的な身分関係を証明する公的な資料のことをいいます。その戸籍についてのルールを定めるのが「戸籍法」です。
戸籍法は、約140の条文からなり、出生、認知、養子縁組、婚姻、離婚、親権や未成年者の後見、死亡や失踪といったその時々の人生のイベントの際にどのような手続きをするのかを定めています。
今回は、近年子供の戸籍の問題として取り上げられることの多い「名前の変更」「無戸籍問題」について見ていきたいと思います。
自分の名前が嫌で変更したい
もうかなり前の話になりますが、自分の子供に「悪魔」と命名しようとしたところ、市役所が不受理としました。届出者である両親はこれを不服として高等裁判所に即時抗告したものの、途中で「あくま」と類似した音の名前を届け出て、これが受理されたため、両親は不服申立てを取り下げて終わりました。
近年では、アニメのキャラクター名等に漢字を当てた名前を「キラキラネーム」と呼ばれることもあります。子供に個性的な名前を付けたいという両親の気持ちも分からないではありませんが、個性的な名前を付けられたことによって、自分の名前を名乗るのに抵抗があり、恥ずかしいと感じてしまう人もいらっしゃるそうです。
就職の際には、そのキラキラネームのせいで書類選考が通りづらい、不利に働く、という話もあるようです。
では、このように自分の名前がどうしても嫌で、変えたい!と思った場合、方法はあるのでしょうか?
戸籍法では、氏名の変更についても定めています(法107条)。氏名の変更といっても、「氏(姓)」「名」で変更出来るための要件がやや異なります。
「氏」については「やむを得ない事由」が必要であり(法107条)、「名」の場合は「正当な事由」が必要です(法107条の2)。「氏」よりも「名」を変更するほうが、要件が緩やかになっています。
「氏」を改正するための具体的な要件としては、永年の使用で戸籍上の名では本人識別が困難となった場合、珍名・奇名・難読などで本人にとって社会生活を営む上で氏を変更しなければならない真の事情があり、その事情が社会的に認められることが妥当である場合に変えることが出来ます。
「名」については、同姓同名者がいて社会生活上著しい支障がある、神官あるいは僧侶となったり辞めたりする場合に必要となる、珍奇・難読で紛らわしい、帰化した人が日本の名前にしたいといった場合に変えることが出来ます。
名前が原因でいじめを受けた場合も「正当な事由」に該当するようです。
これらの要件を充たし家庭裁判所において許可されると、変更することが出来ます。
なお、改名をした場合は、戸籍にその事実が残ります。