ベーシックインカムで資本主義が修正される。クロ現「“仕事がない世界”がやってくる!?」をご覧ください (2016/3/21 SOCIAL DESIGN NEWS)
製作に協力させていただいた3/15(火)のNHKクローズアップ現代「“仕事がない世界”がやってくる!?」が好評だ。
現代社会の急速な変化を端的に解説し、次の社会のビジョンにまで踏み込んでいる。社会のトレンドがベーシックインカムへと流れゆく、その背景と道筋を明確に描き出した番組である。
出演者である千葉大学教授・広井良典先生が、番組の最後で語れた話が示唆に富んでいる。資本主義というのは、常にそれを維持するために、様々な修正が施され、ここまで進んできている。
資本主義400年の歴史から見ると、最初の補完的制度は、現代の生活保護にあたる制度であった。次に、産業革命期にはドイツが会保障制度の基礎を作り上げる。例えば、医療保険や年金の基礎である。
そして世界大恐慌においては、ケインズ理論を取り入れたニューディール政策が打ち出される。政府が、雇用そのものを生みだしていくという打ち手である。人類はこのようにして、資本主義を補完する制度を都度生み出し、存続するように舵を切り続けてきた。
その次の制度がベーシックインカムではないか、という大いなる仮説である。
番組の最終部分で、広井先生が話されているが、資本主義の修正の歴史を振り返ると、その打ち手は“何かが起こる前に対策していこう”とする鋭意ある行動だ。事後的な対処療法ではなく、少しずつでも前倒しで予防していこうとする人類の叡智の発露がある。
社会的な制度というものは、確かに経済や経営、事業の領域とは少し違う。限られた予算を困っているところにどう配分するのか、ということを考えていくものだ。つまり、事後的な対処は、この分野においては基本なのである。
しかし、政治のパラダイムというのも少しずつ変化してきている。より事前に予防策を貼っていくスタイルが、複雑性と不確実性を兼ね備えた社会的パラダイムの中では、更に必要になってくるということだ。
そこで、ベーシックインカムという社会保障のストーリーが語られていく。AIやビジネスのライフサイクルが極端に短くなっていく世界において、最初から衣食住の最低限の支援してしまおうというビジョンである。
もちろん、これまでにない政策が実現していくには、社会的な合意形成がなければならない。そういった意味では予測よりも10年以上も早く、AIが世界一の囲碁のプロを破ったという歴史的な事実は、ニュースの表層次元をはるかに超えて大きなマイルストーンになったと感じている。
また、同じくこの「“仕事がない世界”がやってくる!?」が、日本の合意形成の第一歩のために放たれた、歴史的な番組になったのではないかとも思っている。
見逃された方は、1本108円でオンライン上で観ることができるので、是非観てただければと思う。世界は音をたてながら驚くべきスピードで変化している。
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