自然と関わる子育てを、今一度考えてみる~藤本美貴さん出演のトークショーから~ (2016/2/17 NATURES.)
2月14日に池袋で開催された「いいね!地方の暮らしフェア」で行われた森のようちえんに関するトークショーの進行役だった、モーニング娘。OGの藤本美貴さんに、イベント終了後、インタビューをしてきました。彼女は3歳と0歳のお子さんを育てるママ。自然への想いと子育てについて、今感じていることをうかがいながら、自然と関わる子育てについて考えてみたいと思います。
都会の子育ては難しい
藤本美貴さんは北海道の出身で、身近に自然があふれていたそうです。日々、自然と触れ合いながら育った体験を背景に、最近では子育てママの視点から、フォレスト・サポーターズ(http://mori-zukuri.jp/)としても活躍しています。そんな彼女は現在、都心で子育てをしています。
「北海道の自然の中で育ってきたので、都心での子育てって、ちょっと道に出れば車がいっぱい走っていたりして、難しさは感じますね」というように、やはり窮屈さを感じているとのこと。同じように、都会では自由に遊ぶ環境がないと感じている人も少なくないでしょう。
それでも藤本さんは、トークショーの中で、「都心で鼻水たらしてる子ってあんまりいないですよ。なので、そこをうちは目指していこうかなと。青っ鼻たらして、袖で拭くみたいな子育てを目指していきたいなと思います」と話していました。その強さは、彼女自身がたくさんの自然体験をしてきたことに裏付けされているのだと思います。
帰省時には大自然の中でゆったりと時間を過ごす
藤本さんは、長期休暇には北海道に帰り、大自然の中でたっぷりの時間を過ごしているそうで、子どもたちが都会とは違った表情を見せることを実感しています。
「オモチャもいいけれど、子どもは何もなくても楽しいし、何もない方が仲がいいですね。自分のオモチャは自然の中から見つけてきます。自然があれば子供は遊べるし、学べます」
都会は何でもあると言われますが、心を豊かにする“自然”が少ないことを改めて実感しました。
これを裏付けるデータがあります。株式会社NTTデータ経営研究所が首都圏と政令指定都市の子育て家族を対象に行った「子育て環境意向調査」(http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/160218/)では、「子どもが十分な自然体験ができている」と回答したのはわずか2.2%。逆に「ほとんど自然体験ができていない」との回答が46.0%にも及びます。やはり都心の子どもは自然と関わりが少なく、意識的にその機会を作らなければいけないと多くの人が感じているのです。
子育てを変える、「森のようちえん」の魅力
藤本さんも興味を持つ“森のようちえん”。多くの自然体験をするには、森のようちえんに通うという選択肢が一番なのかもしれません。
トークショーの中で、森のようちえんの魅力のひとつに、「たくさん失敗ができ、その中から自信や意欲が出てくるという」話題がありました。この点については、藤本さんも「新しいことに気付けた」と感じたようで、「日常の中では失敗を未然に防ぐことの方が大事になってしまっている」と自分の子育てを振り返っていました。
確かに日常生活の中では、「そこに置いちゃダメ」とか、「それをやっちゃダメ」ということが多く、実際に失敗する経験は少ないものです。改めて考えてみると、これは子どもも親も、少し疲れる育児なのでは?と感じました。単に自然体験をするだけではなく、子どもとの関わりも変えてしまうのが、森のようちえんなのかもしれません。
まず、暮らしの中に自然との関わりを取り入れてみる
とはいえ、森のようちえんへの通園は、すぐにできるものではありません。まずは、育児の中に自然との関わりを取り入れる方法を考えてみましょう。
簡単に取り組めることのひとつに、公園で遊ぶということもあるでしょう。また、暮らしの中に自然素材の木製品を取り入れるのもひとつの選択です。
今回のイベントでは、フォレストサポーターズによる「森と木の子育てひろば」が設けられていました。木張りの床の上には、自然木を切っただけの積み木や家具、ままごとセットが置かれ、子どもたちが自由に遊ぶ姿が見られました。木の香りに包まれながら、ひたすら積み木を積み上げたり、木玉のプールでぼんやりする子どもたちを見ながら、自然との関わりが身近にあることに安心を感じるのは、大人だけではないんだと感じました。
週末移住や二地域居住も選択肢のひとつ
さらに一歩踏み込んだ自然との関わりをしたいと思うのであれば、週末や長期休暇を使って、濃厚な自然体験をする方法があります。藤本さんは、帰省を「親子留学のよう」と表現していました。日常とはまったくちがう環境で自由に活動することは、より多くの経験を心に刻むことができます。
藤本さんの「田植え体験はなかなかできないので、地方に行ってさせたいです。ツアーが欲しい」という要望に、同席した阿部守一 長野県知事が「(長野県では)至るところで自然体験ができますし、森のようちえんでも夏だけという取り組みをしているところもあるので、ぜひ」と答えていました。まずはこういった取り組みに参加するのもいいかもしれません。
また、二地域居住を選択する人も増えています。週末だけを自然あふれる地方で暮らす方法や、子どもとママが地方に生活拠点を移し、週末に家族そろって過ごすというものもあります。
以前に比べ、移住も魅力的な選択肢のひとつとなっています。自治体による支援も増えており、転職先探しや起業支援といった移住推進策を活用するのも、ひとつの手段。さまざまな施策があるようなので、情報を集めてみると、移住が身近に感じられるようになるかもしれません。
「これからも自然との関わりは、ずっと続けていきたい」という藤本美貴さん。取材を通じて、彼女とお子さんが、自然の中で笑顔で楽しんでいる姿が見えるようでした。
子どもの成長はとても早く、迷っている間に大切な時期が過ぎ去ってしまいます。都心であれこれ考えるより、自分で一歩を踏み出すことが重要です。まずは今できることから、すぐに初めてみましょう。