調査から見る石巻8000人の子どもの声。復興への関心にどう応える? (2016/2/27 ジモトのココロ)
東日本大震災から今年で5年。人生が大きく変わったり、生き方や考え方を見なおしたり、震災は日本に関わる人の人生に何かしらの影響を与えたのではないでしょうか?それは宮城県石巻市でいまも生活を続ける、多くの子どもたちにとっても同じです。
石巻市8000人の子どもの声
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと石巻市教育委員会は、2015年11月から12月にかけて宮城県石巻市の約8000の子どもたちに、「東日本大震災後の地域の復興や防災に参加することについてどのように考えているのか」を尋ねる意識調査を実施しています。
この調査からわかるのは東日本大震災から5年が経とうとしている今も、被災地の子どもたちの地域復興への意識は高く、震災復興に何らかの形で関わりたいという気持ちがあること。そして意識はあるものの、復興への具体的な情報やボランティアへの参加機会が子どもたちに十分に伝わらず、そういう機会に関わる環境が整っていないということです。
6割の子どもたちが「復興に関わりたい」
「あなたは、石巻市の復興にかかわりたいと思いますか?」の質問に対して62.4%(5,085人)の子どもが「はい」と回答。積極的に自分のまちの復興に関わりたいという意思があることがわかりました。また、小中高校別見ると、中学生に比べて小学生の方が若干「はい」の割合が高く、また女子学生の方が男子学生に比べ約13%意欲の高さが伺えました。
復興支援の内容としては「募金」活動が最も多く、ついで「まちの片付け」「地域の行事への参加」などが挙げられました。また、中高生は「復興計画や復興状況について知る」「復興について意見を発信する」「震災を語り継ぐ」など、体験を元に何ができるかを考える傾向が見られました。
子どもたちの復興支援の幅を広げる
「あなたは、石巻市の復興のために何かしたことがありますか?」に対しては61.7%(5,029人)の子どもが「はい」と回答し、復興に関わりたい割合とほぼ重なりました。しかし年代別で見ると、小中高で学年が上がるにつれて「はい」の割合が低くなる傾向も見られました。
どの年代でも実際の復興活動については「募金」「地域の行事への参加」「まちの片付け」の順で多くされていたようです。一方で「震災を語り継ぐ」「まちづくりの活動に参加」「復興について意見を発信する」などに実際に関わった人はいずれも10%にとどまる結果に。
「募金」や「まちの片づけ」といった関わりやすい活動については情報提供が活発に行われたため、子どもたちの支援参加も促せましたが、よりリアルな体験をしているからこそできる、情報発信や伝承による支援活動は、まだまだ子どもたちの元に届ききれていないようです。
震災から5年、当時の記憶がだんだんと薄れつつある中で、目に見える復興活動ももちろん続けていかなければなりませんが、体験や記憶を伝承し続ける重要性にも目を向ける必要があります。
復興に関わりたいと感じている多くの子どもたちへの環境づくりが、今後求められます。