アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」、認知症患者の症状改善に効果 (2016/1/11 認知症ねっと)
「パロ」の精神疾患改善効果について講演
一般社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA)は、12月9日に第5回JIRA画像医療システム産業研究会を開催し、「精神疾患(認知症、うつ病)の予防と診断と治療 -画像診断とロボット技術の応用-」と題して、産業技術総合研究所(産総研)の柴田崇徳氏による講演をおこなった。
産総研では、アルツハイマー型などの認知症患者の脳機能改善に効果があるとして、アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」の実用化をめざし、長年研究開発をおこなってきた。
ペットのように「飼い主」を認識
パロはタテゴトアザラシの赤ちゃんをモデルとし、体長55cm、体重2.5kgと、人間の赤ちゃんに近い大きさ。首、前足、後ろ足、まぶたが動き、センサーで光の変化を感じとる。
「飼い主」になでられたり抱かれたりする状況を認識し、名前を呼ばれ話しかけられることで言葉を学習していく。朝・昼・夜の時間帯により、休んだり活発になったりするという1日のリズムも備えている。
アニマル・セラピーと同様の脳機能改善効果が期待
アニマル・セラピーが、入院患者や施設の高齢者の安らぎとなり、ストレスを軽減する効果があることは知られている。しかし動物を媒介とした感染症やアレルギーの懸念、飼育・管理の煩雑さなどから、動物を導入することにはさまざまな困難がともなう。
これに替わるのが、メンタルコミットロボットである「パロ」。介護福祉施設や小児病棟などで検証された結果、パロによるロボット・セラピーはアニマル・セラピーと同様の効果があると認められた。実験では、約半数の認知症患者において症状が改善または健常者のレベルにまで引き上げられる効果があったという。
産総研の柴田氏は、講演で、「パロは認知症の中核症状を治療するといったものではないが、脳の正常な部分を活性化させるもの」(日経デジタルヘルスより引用)だと延べ、今後も「パロ」の効果についての検証測定を続けていく方針だ。
(画像はプレスリリースより)