日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム、来年は渋谷区で開催へ (2017/12/1 政治山)
先月行われた「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」。その最終日には「日本の将来を作る~子どもと教育が日本のイノベーションをおこす~」と題するシンポジウムが開かれました。
「小学3年生の子を持つ母親として、今日の議論に非常に期待しています」というコーディネーターの伊東敏恵 NHKアナウンサーの発言から、シンポジウムは始まりました。そして鈴木寛 文部科学大臣補佐官から、「世界史的に言って300年ぶりの大変化が起きる激動の時代。こうした転換期には、何を公教育に、何を民間に、何をNPOに任せていくのかといった、哲学的な議論が必要」という指摘がありました。
そして、認定NPO法人『Teach For Japan』の白田直也 代表理事から、ビジネスや海外生活など多様な経験をした人を公教育の場に送り込んで、現場での教育の質を高める活動をしていることが紹介されました。また、川上量生 カドカワ株式会社代表取締役社長からは、「IT教育といっても、子どもたちの方が先生より詳しいのが現実(笑)。通信制高校こそがIT教育の最先端になれると思って設立した」という『N高等学校』の活動が紹介されました。
こうした具体的活動の紹介を受けて、中室牧子 慶応大学准教授からは、「貧困の世代間連鎖が起きているのが一番の問題。これを防ぐために、教育経済学で一番有効だとされているのが、質の高い教員の確保。その意味で自分も『Teach For Japan』の活動を応援している。また、イノベーティブな教育は民間からしか起こらないと思っているので、『N高等学校』も顧問として応援している」との発言がありました。
そして、社会が大きく変わって行く中で、教育の世界でもイノベーションを起こしていかなければいけない。それを実現していくのは、教員、親、政策関係者などの社会のすべての人たちなのだといった、熱気あふれる議論が続けられました。最後にコーディネーターの萱野稔人 津田塾大学教授によって、私たち大人全員が関わって、小さな成功体験を積み重ねていくことで、「ソーシャルイノベーションは起こせる」「世の中は変えられる」と子どもたちが思えるような社会を作って行こうという方向で、議論は集約されていきました。
すべてのプログラムの最後に行われたクロージングでは、日本財団のテレビCMソング「愛は勝つ」を歌う新山詩織さんが登場し、歌声を披露しました。その後、来年のフォーラムは日本財団と「ソーシャルイノベーションに関する包括連携協定」を締結した渋谷区で開催されることが発表され、幕を閉じました。
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