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TENGAを医療機器に!?大田区から世界へ、アダルト雑貨の挑戦 (2017/1/13 大田区議会議員 荻野稔)

関連ワード : 医療 大田区 荻野稔 

 皆様はTENGAをご存知でしょうか? 男性の自慰行為を補助する機器として、TENGAは現在、日本国内だけでなくアメリカ、イギリス、中国など40カ国以上にて販売されています。

 このTENGAをアダルト製品としてだけではなく、医療、福祉の分野での活用を目指した取り組みが大田区で行われています。

 TENGAの医療福祉向け製品/サービスの開発・提供及び性教育支援と情報提供を目指した新しい法人「TENGAヘルスケア」が11月末から大田区の創業支援施設BIGあさひにて活動を始めました。

TENGA

左から「ディープスロート・カップ(一番ポピュラーなタイプ)」「ディープスロート・カップ スペシャルハードエディション(ディープスロートカップのゲルを硬くした刺激の強いハードタイプ)」「ディープスロート・カップ スペシャルソフトエディション(ディープスロート・カップのゲルを柔らかくしたソフトタイプ)」*この3製品は、刺激の強いハード→スタンダード→ソフトの順に使用することで、膣内射精障害の治療に活用されています。

 TENGAが、医療・祉の分野で何に役立つのか? 普段の機能から考えて、性に関係することであるのは言うまでもありません。

 前立腺がん、直腸がん等による性器の機能不全へのリハビリやED治療には現在、薬を使用することが多くなっていますが、薬を使用しない治療・リハビリという点から今、TENGAに光が当たっています。

 また、射精障害、早漏といったことに対する治療にも、数種類のバリエーションを持つTENGAは有効であるとのことで、海外からも注目を浴び、実際にスペインなどからTENGAに対し、協力要請が行われています。

 なかなか面白い動きではないでしょうか?

 私は、障害者の性の問題にも携わってきましたが、そのような分野においても活躍の機会はあるのではないかと期待しています。

医療機器認定でさらなる活用の場が?

 現在は、医療機器ではなく雑貨、大人の玩具という扱いのTENGAは、医療・福祉・教育といった分野で、イメージなどの点から正式に扱いにくいという問題もあります。そのような課題をクリアし、医療機器に認定され安全・安心について国がお墨付きを与えることがあれば、活用が国内外で進んでいきます。

 日本のアダルトメーカーが作成した機器が医療機器として認定され、世界中で治療、リハビリに役立っていく。もし、実現すれば日本の技術力を示す画期的な事例になるのではないでしょうか?

 同じ性に関する製品で言いますとコンドームは、雑貨であるものと医療機器に認定されたものとに別れており、他国で実際にTENGAの女性向け製品の保険適用の話も進んでいます。

 解決すべき課題は未だ多くあると思いますが、日本でTENGAの医療機器適用が不可能ということはないのではないでしょうか。

医療機関との連携で新製品の開発

 大田区は創業支援施設として、TENGAヘルスケアの入居を認めました。大手企業がすぐに飛びつき支援をするような取り組みであれば、行政支援は不要かもしれませんが、こうした変わった、またマニアックに見える取り組みにも平等に支援をしていく姿勢こそ、行政の側に必要な支援の在り方ではないかと思っています。

TENGAメンズルーペ

 さて、こちらはTNEGAメンズルーペというスマートフォンに取り付け、精子を観察するキットです。獨協医科大学越谷病院 泌尿器科の小堀善友先生と株式会社TENGAが共同開発した製品であり、本製品に関する研究は既に学会や国際論文等でも発表・紹介されております。

 アダルトに限らず医療・福祉業界にない知見、技術を他業種が持っていることはままあります。そういった分野同士の連携・交流を業界の枠、世間の視線に囚われずに支援していく姿勢も必要です。

社会生活と性

 ここまで、TENGAについて書かせていただきました。

 一見すると「政治家が一体何を書いているのだ!」と眉を顰める方もいるでしょう。私もそうしたご批判をいただくだろうと判ったうえで、あえてこの取り組みの持つ意義について書かせていただいていますが、特に日本は性についての社会の反応は冷たく、未だ「LGBT・性的マイノリティー」や「障害者と性」を始め、様々な分野においても理解が進んでいるとは言い難い部分もあります。

 しかしながら、性に関わる問題は社会生活を営む上で、他者との愛情を育み、子孫を残していく上で、また個人が充実した生活を送る上で衣食住と並び必要不可欠な要素であり、本来避けては通れないはずの分野です。私たちもまた生殖によって生まれてきました。

 性に関することを何もかもおおっぴらにする必要はありませんが、性についての知識、また必要な支援をもっと真剣に考え、行っていくべきだと思います。

(画像はすべて株式会社TENGAより提供)

荻野稔 大田区議会議員

著者プロフィール
大田区議会議員 荻野稔(おぎの みのる)
 [ホームページ]
1985年11月生まれ 日雇い派遣、非正規雇用、NPOといった現場で働きながら議員秘書を経て2015年より大田区議会議員(1期目)
目に見えない苦しみ、孤独を抱えた方々の支援を進めたいと政治の道を志し、現在に至る。政策をマンガで作成。ネームを自分で作成し、HPで展開中。(第12弾まで連載中)
荻野 稔氏プロフィールページ

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